eyes – ミレイ (milet)

eyes-milet
  • リリース日:2020年6月4日
  • 個人評価:★★★★

[milet] と書いて「ミレイ」さんです。

このアルバムに入っている[inside you] は私にとって2019年年のベスト・ソングでした。
最近もアルバム単位ではまだまだ音楽を楽しめるのですが、ここでは特に触れませんが、ここ数年、洋楽邦楽問わずこの自分にとってその年に感動したこの1曲、まさに神曲といった自分にとって一生大切になるような曲に出会えることが少なくなったのはなんでだろうといつも思いますが [inside you] はまさにそんな1曲となりました。

この曲を聴くと、ちょうど夜から朝に変わる前の、秋頃の寒くは無いが肌寒い澄んだ空気の中、暗さや孤独というか自分一人だけがその場所に存在しているような不思議な感覚を感じます。ちょうど夜中に一人きりで東京の湾岸あたりに一人だけその場にいるような感じでしょうか。
歌詞は自分にとって大切な人を思うような、自分以外の大切な他者とのすれ違いを感じつつもひたすらその人を想っているような印象を受けます。
シンプルな英詞と意味深げな日本語詞が交互に歌われるコーラス部は引き込まれるものがあります。
陰影のあるメロディと milet の中低域のヴォーカルとがマッチしていて孤独感と他者を切実に求める感情にグッときます。
プロフィールが未公開の彼女ですが、中低域から高域部まで自在に感情豊かに行き来するヴォーカルは今の数多くいる才能豊かな女性シンガーの中でも特筆する個性です。もう10年とか歳をとるとハスキーな部分が強くなるかもしれないので正に今がシンガーとしての絶頂期なのではないでしょうか。

実際、この曲は、ONE OK ROCK のギターの Toru が作曲し、作詞は Toru と milet がクレジットされています。
ORICON NEWS の彼女のインタビューにはこうありました。

日本語と英語で表現した「inside you」には、ONE OK ROCKのToruも楽曲に参加

現在は東京都内に在住している彼女だが、作詞に関して最初は全て英語で思い浮かぶそうで、知人であるONE OK ROCKのToruと作った曲が実は「inside you」であり、最初は全編英語だったものをドラマの原作を読んで、日本語歌詞をつけたものに直しているのだとか。

milet 日本語に直すのは大変だったのですが、ドラマに近づけられるように恋愛色を抑えました。ドラマの脚本をいただいた時に、どんな手を使っても諦めずに守っていくという姿勢を感じたので、歌詞にも<私はあなたを諦めない>というメッセージを込めていて。タイトルはそれぞれの人の内側にいる人という意味。例えば、お母さんでもこの人誰だろう? って、全然私が知らない顔に見える瞬間があるじゃないですか。その時に抱いた不信感や初めて見るものに対する不安をそのまま言葉にしています。私のなかにも何人もの知らない私がいるなと思いますね。

“ダーク”な新世代歌姫・milet、ドラマ主題歌から注目 「不安をそのまま言葉に」

オリジナルの英詞を milet が和訳ではなく日本語詞として解釈して作っていったようです。
ドラマは確か竹内結子の最後の主演ドラマであり、女性弁護士物のドラマでした。未視聴なのでこの曲のイメージと合ったのかがわからないでここでは割愛します…

曲の中の [Tell me what is inside you], [Tell me who is inside you now], [手に触れた最初に最後でも], [Let me in you again] という言葉に相手の内側にいる私が知らない誰か、ということを印象付ける言葉になっているように感じます。

と書いてくると、シングル [inside you] のレビュー(感想)のようになってしまいましたが、この1曲がきっかけで2020年にリリースされたこのアルバムを聴くことになりました。

[inside you] がさすがに突出しているところはありますが、アルバムは milet のヴォーカルを生かしたポップなものからスロー・ナンバーまでヴァラエティに富んだ曲が並んでます。

タイアップ曲はメロディが分かりやすく綺麗な曲が多く、13曲目の [us] はドラマ [偽装不倫] の主題歌でこのアルバムのポップ・サイドの代表曲です。
メロディが分かりやすく綺麗な曲という意味では、7曲目の [You & I] も素晴らしいですね。
ストレートなラヴソングだと思いますが、[もう他には誰もいなくなっていいのに]と[So we don’t need it now] の韻の言葉遊びのコーラスも粋です。

個人的には、Toruがプロデュースで参加した新録の [Somebody] と [The Love We’ve Made] が良かったです。
[The Love We’ve Made]は全て英詞となっていてなかなかグッとくるバラードになっています。

このアルバムについての本人のインタビューという意味では[音楽ナタリー]のものが milet 自身のそれぞれの曲紹介もあったりしてある程度アルバムを聴き込んだら読んでみると面白いと思います。

音楽ナタリー

milet – 音楽と向き合って作り上げた“人生”のような1stアルバム

海外で活躍とまではまだまだいかないと思うので日本での音楽活動ではこれで良いかと思いますが、Milet はネイティヴが歌っているような英語の発音がすごく自然できれいなので、あまりコテっとしたゴージャスな音ではなく洋楽っぽくシンプルなサウンドにした方がヴォーカルがより生きる曲になるのではないかと思いました。

今後も良いブレーンに恵まれ milet が歌えば彼女だけの曲になるようなシンガーになれれば良いですね。
タイプは違えど中島美嘉さんのように圧倒的な世界観を作り上げるというところまで行ってしまって欲しいです。
そういうシンガーになった時には中島美嘉さんのようなカバー曲集等もいつか聴いてみたいですね。

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