The Slow Rush – テイム・インパラ(Tame Impala)

tame_impala-the_slow_rush
  • リリース日: 2020年2月14日
  • 個人評価:★★★★☆

癒しと高揚感の清涼剤

私は通勤途中に音楽を聴くことが多いです。
コロナ禍の今、テレワークが当たり前となり以前は通勤ラッシュで身動きも出来なかった電車の中も今や適度な密度となり、片道1時間強かかる移動時間の半分以上を座って電車に乗ってられるようになりました。

少し奮発して買ったBluetoothイヤホンで、洋楽であればスマホで有志が作る洋楽歌詞サイトを見ながら、サイトがなければ、Googleで曲名検索して自動日本語翻訳機能を使って歌詞(和訳)に見入る事も出来、今は音楽に一番集中できる時間となってます。

通勤途中といってもその日その日の気分によって、聴きたい音は変わります。

仕事で詰まりごとがあれば気分が散るので、じっくり聴けるアルバムではなく、BGM的に聴けるものにするとか、たまに混雑して立ちっぱなしの時は、軽く気分がイラつくの穏やかな音よりも、ストレス解消にメタル、ハード・ロックを聴いて周りにバレないように電車の揺れに同期してるような振りをして軽くスウィング(ヘドバンすると完全やばいので)しながら聴いたりとかしてます(バレてる時は変な奴、時には危ない奴とか思われているかもしれません…)。
その音楽時間が好きでテレワークを避けて、電車通勤をしているところもあります。

そこで(どこで??)、このテーム・インパラの4作目のアルバム[The Slow Rush]です。

これは週初めの月曜日の朝通勤時に初回・2回目を聞いたのですが、大人しくもなく激しくもない適度な高揚感を持つサウンドが月曜日のダルで軽く鬱な気分をサッパリスッキリさせてくれてすっかりお気に入りのアルバムとなりました。
砂漠?砂浜?に建つ赤の内装の部屋から青空と白い雲が見えるアルバム・ジャケットは、見ていて綺麗でありながらも不思議な空間を感じさせます。

テーム・インパラは、ライブではバンドで活動してますが、ケヴィン・パーカー(Kevin Parker)のソロ・プロジェクトとなっており、全てのインストルメンツとヴォーカル、さらにサウンド・プロダクションもケヴィンが行っています。
そのサウンドは、Wikipedia によると下記のようにあります。

テーム・インパラ (Tame Impala) は、オーストラリアのミュージシャン、ケヴィン・パーカー(Kevin Parker)によるサイケデリックミュージックプロジェクトである。ケヴィン・パーカーによるソロプロジェクトではあるが、ライブではバンド編成で演奏される。音楽的には1960年代後半のサイケデリック・ロックを現代に昇華したサウンドを特徴とする。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』テーム・インパラ

言い得て妙で、サイケデリック・ロックの幻惑的な要素は今作では薄目となっていながらも、心地よい雰囲気と洗練されたダンス・テクノ要素を見事に昇華させており、バンド・サウンドでロック感もしっかり感じさせてくれるが特徴です。
そんな中にも、ケヴィンがオーストラリア出身のためなのか、ナチュラル感というかオーガニックな大陸的な懐深いイメージも想起させます。

ケヴィンはこのアルバムを、コロンビアのノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスの名作小説「百年の孤独」にインスパイアされた、“時間の流れ”をテーマとして明確に提示したコンセプチュアルなアルバムとして作っているとのことです。
当然ながら私は読んだことのない小説なので、小説との関連性やイメージを繋げられる訳ではないですが、音と歌詞から感じ取るのみです。

正直、一発で覚えられるような強い個性や特徴を持つ神曲達がアルバムの起承転結を構成するように並ばれているようなアルバムではないので、感想を書きづらいところなのですが、1曲目の[One More Year]から軽くこの世から離脱するようなエコーの効いたサウンド・プロダクションが心地良い高揚感を与えてくれながらアルバムはスタートします。

5曲目の[Breath Deeper]が個人的には気に入っており、キーボードが奏でる反復するリフレインが非常に心地よさを感じさせてくれます。途中で曲が1,2秒止まり、別の曲がなったかのように感じるのですが、これが何回が聴いてると自然なフローに感じられていきます。このようなパターンがこのアルバムには数曲含まれています。

8曲目の盛り上がっているのかどうかわからないパーティ会場なのか披露宴なのかわからない場所でバンドが演奏する不思議なPVの[Lost In Yesterday]は印象的なベースラインが心地よくポップな曲になってます。

その後も、スペイシーな浮遊感を持つキーボードを中心としてバンド・サウンドで構成されながらも、心地良いダンスピートとサイケデリックというより決して不快感を感じさせい不思議な異世界観を展開しながらアルバムは進んでいきます。

ケヴィンのヴォーカルは、決して上手いという訳ではないのですが、強くもないけど決して弱くもない声質のヴォーカルにリヴァーヴを効かせてインストルメンタルの一部として機能しているようであり、テーム・インパラの世界観には欠かせない存在となってます。

部屋で小音でBGMとして聴くのも悪くはないですが、移動中等であっても、少なくとも音質の良いイヤホン等で音に浸れる時間を作り、サウンドに身を委ねて聴くことをお勧めします。

AORやアンビエントという訳ではないですが、心と体をリフレッシさせ、癒しをもたらしてくれながらも、適度な高揚感を与えてくれると思います。
こういうアルバムを通して心地よさを感じさせてくれる作品を聴くとやっぱりロック・ポップスっていいなぁ〜と改めて思わせてくれます。

2019年にはジャスティン・ティンバーレイクの代役だったようですが世界的に有名なフェスであるコーチェラで、豪華なステージ演出の中、ヘッドライナーを務めたようです(ケヴィン曰く大赤字だったようですが…)。

2008年にSUMMER SONICで来日したようですが音響の良いライヴハウスで実際に体験したいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました