Seventeen Going Under (Deluxe) – サム・フェンダー (Sam Fender)

Seventeen_Going_Under-Sam_Fender
  • 2021年10月8日
  • 個人評価:★★★★☆

今後のナンバーワン、オンリーワンのシンガー・ソング・ライター筆頭です

今回は2021年にリリースされたサム・フェンダー (Sam Fender)の2枚目のオリジナル・アルバムの [セヴンティーン・ゴーイング・アンダー] (Seventeen Going Under)を紹介します。


アーティスト紹介

サム・フェンダーは、イギリス出身の28歳の新進気鋭のシンガー・ソング・ライターで、これが2作目のオリジナル・アルバムとなります。
デビュー・アルバムは未聴なので、個人的に2021年の出会えて良かったという若手アーティスト・ベスト3に入ります。

先日紹介したインヘイラー(Inhaler)も凛とした佇まいが魅力的なUKロック・ギター・バンドでしたが、こちらはよりハードでストレートなギター中心のサウンドで、ソロ・アーティストとしてのカリスマ性を感じさせる人です。

イギリスのノース・シールズの労働階級として生まれたサムは、生まれて10歳までは音楽好きな家庭の中で両親・兄と平穏な生活をしていたようです。
父親はシンガー・ソング・ライター、ギタリスト、ピアニストでもあり、兄はドラムを演奏して地元で演奏するミュージシャンでした。

8歳の時に、父親から送られたギターに夢中になり、ジミー・ペイジ、ジミ・ヘンドリックス等に魅了され、兄から教えられたブルース・スプリングスティーンやジェフ・バックリーにシンガー・ソング・ライターとして影響を受けてきたようです。

しかし、両親の離婚後、継母に追い出されるように家を出て、一度離れた母親の元で暮らす等、その後も家庭的に恵まれない青年期を過ごしました。

幼少期からの荒んだコミュニティでの貧しい生活と、決して円満ではなかった家庭事情、学生時代はバイトを掛け持ちしながら、ドラッグにも手を染めて、そんな生活の中でも音楽が心の糧となっていき、ローティーンの頃にはバンド活動を始めプロ・ミュージシャンになることを目標とするようになったようです。
そのような少年期・青年域の生活が今の彼の音楽を形成していくことになったのでしょう。

よくある話のように思えますが、日本に住んでいるとその日の生活費にも苦労するという家族はドラマの中の世界のようですがイギリスのような先進国でもよくあることなのでしょうか。

このセカンド・アルバムは、2018年にポリドール・レコードと契約後のデビューEP [Dead Boys], 2019年リリースのファースト・アルバム[Hypersonic Missiles]に続くセカンド・アルバムとなります。

アルバム・インプレッション

ソングライティングやプロデュース、演奏はしっかりかっちりしているのですが、風格というような変な余裕を感じさせるところはなく、良い意味での青臭さとヒリヒリとした感触と反骨精神と荒涼感が感じられるところが魅力です。
ただ、全体的に暗さよりも透明感や凛とした空気感が漂うアルバムとなってます。

歌詞は政府による監視等の政治的な問題やいじめやハラスメント、底辺から這い上がろうとする姿勢等、シリアスな歌詞がメインとなります。
そして今作は、アーティスト紹介で触れた彼の家庭事情や地元での生活やコミュニティ等、より内面的な歌詞を持つ曲が多いように思えます。

サムのヴォーカルも力強く熱く、孤高の雰囲気を持っています。
どこか透明感がありクリーンな声質が演奏と詞にマッチしていて世代の代弁者でありながら、凛とした張り詰めた空気を感じる独特の世界観を築いてます。

海外だとボブ・ディランやブルース・スプリングスティーン等が比較対象に上がると思いますが、語弊があるかもしれないですが、直接的なラヴ・ソングはないけど、日本のアーティストだと尾崎豊にイメージが似ているかもしれません。
反骨精神と自身のアイデンティティや他者とのすれ違いが色濃く感じられます。

アルバム16曲は力強くもアップテンポなロックからスローな曲を上手く組み合わせ、それぞれの曲の良さも相まって曲順も緩急も上手く、アルバム一枚通して今年の名盤に値する出来になってます。
何度か聞いていくとメロディ、歌詞と味わい深く感じられていくのですが、決してベテランの妙味ではなく、それが28歳のサム・フェンダーという青年の表現であることに感銘を受けます。

アルバムの中で出色の曲は、1,2曲目の[Seventeen Going Under], [Getting Started]です。

1曲目の[Seventeen Going Under]は、イジメや人間社会の中の疎外やその輪の中にいるもの(傍観者)のやるせなさ等が歌われており、イギリスも日本も若い世代は闇があるのだなと、日本人でも曲と共に歌詞に共感するところが多いと思います。

2曲目の[Getting Started]は、決して良い状況ではなく傷つけられてもまた始めるんだという前向きな決意が感じられる曲になっています。

3曲目のちょっと機械的に響くギターのリフに政治的な歌詞が歌われる[aye]も良いですが、畳み掛けるように4曲目のアップテンポの[Get You Down]あたりの、序盤の1~4曲の流れが特出しています。

デビューしたての頃はドラマ等にも出てたということもあり、Web画像やPVで見る限り、かなりのイケメンで、素でもメディア映えするのが魅力です。

4曲目の[Get You Down]のPVを見ると青春映画仕立てのようになりながらも臭さが全くない仕上がりになってます。

Sam Fender – Get You Down (Official Video)

5曲目以降はスローな内省的な曲が続きますが、8曲目の[Leveller]や10曲目の[Paradigms]等のようにアップテンポの曲を挟んでアルバム通して捨て曲はなく展開されていきます。
それぞれスローなアコースティック・ギター、ピアノ一本で歌われる15曲目の[Good Company]と17曲目の[Poltergeists]はサムの新しい一面が感じられる曲で、前者は家族、母親でしょうかのことが謳われているようで、後者は恋人への最後の電話の後、酒に溺れているとポルターガイストが現れてざわめき出す、自分が死んだらその中の一つになるという情景が浮かぶ20代後半の大人の失恋ソングが味を出してます。

ただこの手のロック系のシンガー・ソング・ライター洋楽アーティストは昔からなかなかスモール・イン・ジャパンになってしまう傾向があるように思われ、本国イギリスでの人気は順調なようなので、ヨーロッパ、アメリカでブレイクして、それに釣られてでも日本でもブレイクしてほしいですね。

2019年にSUMMER SONICで来たようですが、腰の重いオヤジな私でもライブに行きたい格トップに入ったアーティストに出会えました。

参考サイト

note に投稿されている The Playlist Channel さんのこのアルバムのレビューが、サムの生い立ちやこのアルバムの特筆曲の解説があって良かったですね。

本作は3年ぶりのアルバムにとなっていて前作ハイパーソニックミサイルは現代のギターミュジックに息を吹きかけんばかりの小賢しいトリックなしのギター一発勝負という彼のスタイルに多くの人が魅了されたのではないのでしょうか。

『サムフェンダー・Seventeen Going Under』アルバムレビュー【音楽】| note (The Playlist Channel)

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