Now And Then – ポール・スタンレーズ・ソウル・ステーション (Paul Stanley’s Soul Station)

Now_And_Then-Paul Stanley's_Soul_Station
  • 2021年3月19日
  • 個人評価:★★★★☆

モンスター・ロック・ヴォーカリストのアットホーム感覚満載のソウル・プロジェクト・アルバムです

今回は2021年にリリースされたポール・スタンレーズ・ソウル・ステーション (Paul Stanley’s Soul Station)の1枚目のプロジェクト・アルバムの [ナウ・アンド・ゼン] (Now And Then)を紹介します。
ポール・スタンレー自身は過去にソロ・アルバムを2枚リリースしていますが、それまでのものとは全く毛色の異なるソロ・プロジェクト・アルバムです。


アーティスト・アルバム紹介

説明不要ですが、ポール・スタンレーは、レジェント且つモンスター・ロックバンドのKISSの創設からのメンバーで、ヴォーカリスト・フロントマンです。

個人的なイメージでは、雑誌等の人気ヴォーカリスト・ランキングに上がるような人ではなかったような気がします。
KISSのパーティー・ロック・バンドというバンド・カラーもあり、メイクのせいで”素顔”自体があまり知られてなかったところもあるのかもしれません。

私は、ちょっと高めの鼻にかかるような艶のあるロック・スター然とした声質と熱い歌い方が昔から好きで、KISSの大ファンという訳ではないのですが、好きなヴォーカリストです。

70年代に一世を風靡し、半世紀程スター街道をひた走るレジェント・ロック・バンドのヴォーカリストなので、当然のことながら2023年現在、既に71歳になるようです。

今回のアルバムは、最近になって音楽の趣向が変わって来てソウルアルバムでも作ってみようかなという安易な動機ではなく、子供の頃からフィリー・ソウルやモータウンといった音楽を聴きながら育ったきたようで、昔から好きだったR&B/ソウルの偉大なアーティスト達や名曲に敬意を表してプロジェクトを立ち上げたようです。

このプロジェクトでライブも一緒にプレイして来た一流ミュージシャンと作り上げたポールにとって念願のカバー中心のアルバムです。

アルバム・インプレッション

この手のカバー集はカバーのみというのがよくあるパターンな気がするのですが、全14曲中、オリジナル曲が5曲入ってます。
カバーには、フィリー・ソウルの曲が多く、スピナーズ(Could It Be I’m Falling In Love)、デルフォニックス(La-La – Means I Love You)、スタイリスティックス(You Are Everything)等の曲から、偉大なシンガーであるスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ(Ooo Baby Baby)、テンプテーションズ(Just My Imagination)、アル・グリーン(Let’s Stay Together)といった曲が入ってます。
いずれも、長年洋楽を聴いて来た人には耳なじみのある曲が多くなってます。

オリジナル曲も、アルバムに並んでいる名曲群と違和感なく溶け込んでいます。

マニアックな選曲に走ることもできたと思いますが、時代を超えて多くの人に愛されてきた名曲・ヒット曲を選んでいるところが、稀代のエンターテイナーのポールらしい選曲になっています。

このアルバムでのソウルシンガーとしてのポール・スタンレーをどうこういうのは野暮な話であり、PVを見ても、顔はさすがに皺などから年相応感は感じますが、本当に良い歳の取り方をしているなと嬉しくなります。
ソウル・シンガーとしての動きではないですが、ロックンローラー・ポール、ソウル・ミュージックを歌うという感じの70歳とは思えないキレッキレの動きをしています。

私はロック/ポップスな人なので、熱心なブラック・ミュージック・ファンではないですが、ポールが本当に楽しんで気持ちよく歌っているのが聴いててわかり、そんなアットホーム感があり、昔の曲をやっていても古くささを感じない不思議な魅力はそのようなところから来るのだと思います。
また、R6B/フィリーソウルへの敬意が感じられ気持ちよく聴けるアルバムになってます。

このアルバムで初めてソウル/R&Bアルバムをリリースしたポール・スタンレーと比べるのはどうかと思いますが、10代に好きだったホール&オーツなんかを思い出しました。
ソウル/R&Bに触れてないロック・ファンや若いKISSファンがその世界の入口としての役割となるアルバムです。

私のレビュー/感想投稿ではアルバム内の好きな曲を何曲か触れるのが常なのですが、1曲だけ取り上げると、[Ooo Baby Baby]という曲の(Stationed At Home)のPVがあるのですが、ピアノとアカペラでポールがリモートでミュージシャンとセッションをするものです。

ポールのセリフが結構くさいのですが、コロナ禍でステイ・ホームを意識していることもあり、リモート・セッション・ミュージシャンや見ている人に歌うように促したり、そんなセリフを照れることなく、みんな優しい笑顔でセッションしている感じがかなり和めます。

昔、Burrn! か何処かの雑誌でポールのインタビューを読んだときに、ロック界トップのロックスターである以前に優しい人間味のある人なんだなぁ、と感じた事があったのもポールの人となりや、人徳によってこんなに心地よいアルバムに出来たのかなと思います。

Paul Stanley’s Soul Station – Ooo Baby Baby (Stationed At Home)

この作品はアルバムを通して、優しさや心地よさが感じられます。
そんな作り手のリスペクトが感じられるとてもリラックスできるアルバムになってます。

参考サイト

udiscovermusic のサイトには、オリジナル曲の出どころや参加ミュージシャンの詳細も書かれており、このアルバムを聴く助けとなってくれます。

KISSの創設メンバーの一人にしてフロントマン、ベストセラー作家、そしてロックの殿堂入りも果たしているポール・スタンレーは、この数年間、あるプロジェクトを大切に進行させてきた。それがこのソウル・ステーションである。

ポール・スタンレー率いるソウル・ステーション、初のアルバム『Now And Then』3月発売決定 | udiscovermusic

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