ATBPO ~ And The Band Played On ~ – ナイト・レンジャー (Night Ranger)

ATBPO-Night_Ranger
  • リリース日:2021年8月6日
  • 個人評価:★★★★

今作も天性のオプティミズムが元気をくれる作品です。

今回は2021年にリリースされたナイト・レンジャー (Night Ranger)の13枚目のオリジナル・アルバムの [ATBPO ~ And The Band Played On ~]を紹介します。


アーティスト紹介

私の昔から大好きなナイト・レンジャーの13枚目のアルバムです。(ジャック・ブレイズ不在の俗称ムーン・レンジャーとして出された1995年の[Feeding off the Mojo(フィーディング・オフ・ザ・モジョ)]を含んでます。)
80年代初頭から現役で今でもコンスタントな活動をしている大御所アメリカン・ハード・ロック・バンドの代表といえばこのバンドしかないのではないでしょうか。

アメリカの大陸的な開放感、個性的で派手なツイン・ギターの華やかさ、カラッと突き抜けたサウンド、ジャック・ブレイズのロックをやるために生まれたとしか思えないロックンローラー気質ととにかく元気で躍動感のあるヴォーカルというように、私が中学生の頃、[ロック・イン・アメリカ((You Can Still) Rock In America)]を聞いた時から、陽性アメリカン・ハード・ロックの素晴らしさを教えてくれました。
それ以降、大好きなオール・タイム・フェイヴァリット・バンドです。

80年代初頭の衝撃的なデビューアルバム[Dawn Patrol(ドーン・パトロール)]、セカンドアルバム[Midnight Madness (ミッドナイト・マッドネス)]がバンドのシンボルとなる名盤ですが、セカンド・アルバムからの[Sister Christian (シスター・クリスチャン)]のシングル・ヒットからは暫くバラード・バンドというレッテルとの葛藤があり、アルバム全体を通してライトな作品が続いたこともありました。

その後のニルヴァーナ・ショックによるグランジの台頭による往来のハード・ロック,ヘヴィ・メタル(H/R,H/M)バンドの漲落とセールス面での落ち込み、解散、再結成、度重なるメンバーチェンジを繰り返しと、40年以上活動している中でバンドに様々な歴史が積み重ねられていきます。

ただジャック・ブレイズ(Vocal,Bass)、ケリー・ケイギー(Drams)、ブラッド・ギルス(Guitar)の3人は不動のままナイト・レンジャーの屋台骨を支え続けてます。
今(2023年時)のところ3人以外の他のメンバーは、ギターの ケリ・ケリー、キーボードのエリック・リーヴィーで10年程、安定しています。

このバンドはたまたまデビュー時期が80年代のH/R,H/M勢であるLAメタルを中心とした煌びやかな、いわゆるヘア・メタル勢や、ジャーニーやフォリナーのような産業ロックと括られるバンドらと同じ時期に活躍してきたので誤解されがちですが、デビュー時から見た目も含めて時代に左右されない王道アメリカン・ハード・ロックの流れをくむ正統派バンドで、それらのバンドとは一線を画するバンドです。

ナイト・レンジャー以外には類を得るようなバンドは思いつかず、こういったバンドこそロックの殿堂入りをするのにふさわしいと思うのですが、まだ噂にも出てこないのが悲しい限りです。

アルバム・インプレッション

で、今作[ATBPO 〜 And The Band Played On 〜 ]は前作の[Don’t Let Up (ドント・レット・アップ)]から4年ぶりで大ベテランバンドとしてはまずまずのペースでのアルバムリリースとなりました。
再結成してから、2007年リリースの8作目の[Hole In The Sun (ホール・イン・ザ・サン)] からは3,4年に1作のペースでコンスタントにアルバムをリリースしてくれていて、今作も安定のストレートなアメリカン・ロック・アルバムです。
ここ数作は迷いが一切なく、ナイトにファンの求める音楽と自分たちがやりたい音楽の軸がブレずに、何よりも本達が楽しんでアルバムを制作し、ツアーをしているのだなぁと実感できます。

80年代のファースト、セカンド・アルバムでのキラーチューンのような血湧き胸躍る感動が湧き上がるような鮮烈で衝撃的なサウンドを40年が経過した2020年代という時にナイト・レンジャーに期待するのは難しく、これらは今後の新鋭ロック・バンドに期待しましょう。

曲によっては過去の○○のような曲だなといったものもいくつかありますが、そこは愛嬌で捨て曲が全くないとは言えませんが、私のような昔からのファンはこうやってコンスタントにナイト・レンジャーらしいアルバムを出してくれ、らしい曲が聴けるのが本当に嬉しいです。

アルバムからのPV [Breakout]でも観れるように、例えとえおじさん、おじいちゃんの年になろうが、若々しい印象のままでロックンローラーとしてのカッコ良さは相変わらずです。
ジャックとケリーのヴォーカリストとしての衰えのなさもアルバムを聞く限りではほとんどなく、サングラスのせいもありますが、皆んなカッコ良いロックおじさんで、ブラッドの体もビルドアップされているように見え、若々しささえ感じさせます。これがロック・ミュージシャンの良い年の取り方のお手本のような3人です。
これだけ音もルックスも見た目に老いを感じさせないバンドも珍しいです。

Night Ranger “Breakout” – Official Music Video

冒頭から3曲の先に紹介した[Breakout]を含めていかにもナイトらしいロック・ナンバーが続きます。
ただ個人的に今作ではロック・ナンバーよりも、昔からこのバンドで問題?となっていた(バラードではない)スローナンバー、アコースティック・ナンバーが出色でした。
5曲目の[Can’t Aford a Hero], 8曲目の[The Hardest Road]は歳を重ねたカントリー・テイストと言って良いような味わいがあり、過去の大ヒット曲[センチメンタル・ストリート]のような明らかにラジオ向け、ヒット狙いという感じがせず、また惚れた腫れたのバラードではなく、アメリカの郷愁というか、70年代から脈々と連なるアメリカン・ロッカ・バラードの醍醐味が感じられ、ここら辺が巷にいるヨーロッパを中心としたメロディアス・ハードロック・バンドには到底追いつけないナイト・レンジャーでしか出せない味わいです。

アルバムタイトルの、And The Band Played On の通り、自分達やファンが望んでいるナイト・レンジャーたるナイト・レンジャーのロックをこれからも迷いなくプレイし続けて欲しいです。

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