- リリース日:2018/4/25
- 個人評価:★★★★
ヘヴィ・メタル界歴史的名盤のセルフ・オマージュ作品です
今回は2018年にリリースされたライオット (Riot)の16枚目のオリジナル・アルバムの [アーマー・オブ・ライト] (Armor of Light)を紹介します。
2017,2018年リリースのアルバム・レビュー群は、私が3年以上前の2019年頃にテキストに書いたままだった感想をリライトした蔵出しです。
稚拙だったり的外れだったりしますが、誤字脱字ベースの修正メインとしてあまり不必要な加筆はせずにアップします。
創始者でありバンドの魂だったマーク・リアリ(Gt)が亡くなっても新メンバーを加えてどっこい生き続けるライオット(Riot)。
マーク死去後はマークに敬意をこめて、「RIOT V(ファイブ)」が正式バンド名のようです。
日本ではレコード会社の意向で「RIOT」のままになっています。
アメリカン東海岸メタルの都会的なコンクリートの冷ややかな感覚とブリティッシュの伝統的な湿っぽさ、日本人好みの哀愁味のあるメロディーでヘヴィメタル界に数々の名曲・名作を残してきた貴重なオリジナリティを持つバンドです。
マーク・リアリの作る突出した楽曲とメロティとギター、元祖スピード・メタルと言っても良いオリジナリティと、以降のバンドへの影響度、そしてバンドに参加した個性的なヴォーカリスト達も素晴らしかったです。
私は幸運にもバンドの最高傑作と言われる1989年の「Thundersteel (サンダースティール)」だけはリアルタイムで聴いていて、そのオリジナリティと熱気を感じ流ことが出来ました。
80年代は毎年メタルアルバムの話題作・名作がこれでもかというほど発表されてましたが、当時は孤高のオリジナリティを持つバンドの名盤として印象に残っています。
まさに気持ちを昂らせる熱さが当時のメタル名盤にはありました。
そしてこのアルバム。
2012年にマークが亡くなって再編成された後もアルバムは出てますが聴き逃しており、久々にライオットを聴きました。
バンド名はライオットVに変わってますがマークの意志を真摯に引き継ぎ、しっかりマークの魂が宿っているといえるアルバムと言えるでしょう。
今回のはそれがバンドの目的であり、「Thundersteel (サンダースティール)」のオマージュ作品と言って良いと思います。
ヴォーカルのトッド・マイケル・ホールは、ライオットのフロントマンとして旧ヴォーカルのガイ・スペランザやトニー・ムーアに比べるとちょい弱いかなと感じるものの、ライオットらしさを表現できるハイトーン・ヴォーカリストであり、疾走感のある曲が多い中で、古いファンも必ず満足することでしょう。
比べるのはあまりにも酷ですが、半分は超キラー・チューンだった名盤「Thundersteel」と比べると楽曲の魅力と全体的な曲のクオリティは悲しいけど落ちるかな、初期から全盛期に比べると1ランク下がってしまうかな、とは思いますし、後半ミドル・テンポの曲が平凡かなという印象はあります。
ただ、最後に待ってましたの「サンダースティール (2018 ヴァージョン)」を配置しています。
このイントロが流れると血沸き肉踊り、バンド一世一代の名曲がこのアルバムのハイライトとなると言っても良いでしょう。
再録バージョンですが、これを入れてくれたおかげで名盤「Thundersteel」へのトリビュート感がグッと強まり、オリジナル曲が引き締まってくると言って良いでしょう。
この曲の再録を最後に持ってきたのは、マークへの追悼とともに、バンド最後の作品と覚悟してこのアルバムをリリースしたのではと、スピード・チューン中心に固めたオリジナル曲の潔さも含めて感じられます。
それだけグッとくる位置に2018 ヴァージョンが配置され存在感を示しています。
名盤「Thundersteel」をなぞった自己コピーだとかも言われても、1,2,4曲目を初め佳曲揃いの2018年ヘヴィメタルベストアルバムの一つであることは間違いなしです。
これからライオットが続くのかは神のみぞ知ると言ったところですが、こういうヘヴィメタルのレジェンドバンドが元気に頑張ってくれ、歳を感じさせない全盛期を彷彿とさせる水準の高い作品を聞かせてくれるのは嬉しいことです。
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