2023年12月 今月のこの逸曲(洋楽編) Part.3
- リリース日:2023年11月21日
12月の逸曲(洋楽編)の3曲目は、Bjork と Rosalia (ビョーク,ロザリア)のコラボ曲、Oral (オーラル)です。
アイルランド出身の前衛とポップを折衷させるビョークと、スペイン出身のフラメンコとダンス,R&Bをクロスさせるロザリアによる、あまり想像できなかったコラボの単発シングルです。
どちらもエキセントリックさとミステリアスさと併せ持つ女性アーティストとしては新旧タイプは異なれど共通点がある二人です。
この曲は、ビョークの母国アイスランドで行なわれているサケのオープン・ペン(開放型)養殖の残酷さや、環境と生態系への深刻な影響に光を当てることを目的としており、この曲のすべての収益とリスナーから募っている寄付はオープン・ペン養殖に抗議する非営利団体に寄付されます。
規制の緩いノルウェー資本の商業サーモン養殖事業は、遺伝子組み換えによる魚のDNAの悪化や病気になった養殖のサーモンが逃げ出していまい、野生のサーモンとの交配によりアイスランド固有の生態系に壊滅的な影響を与えていることに触発されたビョークがロザリアに協力を依頼しこの曲が生まれました。
曲自体はビョークの作品で、上記のオープン・ベイ養殖の報告を知ることでお蔵入りだったこの作品を思い出し発表することとなったようです。
歌詞は抽象的ですが、夢が現実になることの可能性、行動に対する疑問、一線を越えることの警告と自制心といったことが謳われているのかな。
タイトルのオーラルは「口頭の」「口径の」とか口(くち)に関わる単語です。
いずれにせよ語られているオープン・ベイ養殖とはっきりとした関連性は見えず、聴く人に解釈を委ねているところがあります。
曲はビョークにしては分かり易いメロディを持っていて、リズムあたりはロザリア風といったところでしょうか。
ビョーク色が強く、ロザリアの必要性や良さが感じずらいですが、彼女のユニークさや色気がほんのりと感じられました。
佳曲として逸曲判定しました。
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