Nature’s Light – ブラックモアズ・ナイト (Blackmore’s Night)

Nature's_Light-Blackmore's_Night
  • リリース日:2021年3月12日
  • 個人評価:★★★★★

メロディアスの境地のトラッド・フォーク・ロック・アルバムです

今回は2021年にリリースされたブラックモアズ・ナイト (Blackmore’s Night)の11枚目のオリジナル・アルバムの [ネイチャー・ライト] (Nature’s Light)を紹介します。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ネイチャーズ・ライト [ ブラックモアズ・ナイト ]
価格:2,213円(税込、送料無料) (2023/6/21時点)


アーティスト紹介

古くからのロック・ファンには説明不要ですが、リッチー・ブラックモアは伝説的なハード・ロック・バンド ディープ・パープルとレインボーのギタリストだった人で、日本の往年のハード・ロック・ファンにとってはギター・ヒーローという言葉を超越した特別な存在です。

そして、ブラックモアズ・ナイト (Blackmore’s Night)は、レインボーの再結成とその解散後の1997年にリッチーと奥様(結成時は婚約者)のキャンディス・ナイトの夫婦が中心となり結成されたユニットであることは有名です。
ハード・ロックというよりルネッサンス期のフォークソングや民謡にインスパイアされたフォーク・ロック・ユニットです。

かつてリッチーが在籍したディープ・パープルはというと、ジョン・ロードが亡くなりましたが、全盛期のメンバーがまだ残る中でいぶし銀のロック・アルバムのリリースとライヴ活動をコンスタントにしています。

そしてレインボーはというと、ロニー・ジェイムス・ディオやコージー・パウウェルといった他界された名物メンバーはいますが、日本のオールド・ハード・ロック・ファンにはまさに神話として語り継がれている伝説のハード・ロック・バンドとなっています。

私は上記の2つのバンドのアルバムをリアルタイムで聴いたのは、ぎりぎりレインボーの[ストリート・オブ・ドリームズ(Bent Out Of Shape)] のみですが、レインボーのベスト・アルバムはファンの中にそれぞれあるように、私にとってこれがレインボーのベスト・アルバムです。
一般的にはポップすぎるという意見ですが、この作品をリアルタイムで聴くことができ、レインボーという不世出の芸術的ハード・ロックを感じることが出来たのが何よりの貴重な経験でした。
メロディ、演奏の素晴らしさが神がかっていて、曲から発する熱量やアルバム・トータルの持つオーラが尋常ではなかったです。

近年リリースされているメロディアス・ハードと言われるバンドやその作品の中で、名作と評価されるアルバムを聴いても、このアルバムと並んで評することはおろか、足元にも及ばないのではないかと40年経った今でも感じてしまう程、軽々しく神アルバムとか言うことさえ躊躇うメロディアス・ハード・ロックの金字塔です。

そんな中でリッチー・ブラックモアにもハード・ロックのハード・ロックたる音楽として芸術性を高めて行く活動をして欲しかったというのがファンの願望だったかと思います。
ただ、ブラックモアズ・ナイト結成当時、リッチーは50代前半、キャンディスが20代半ばという2回り離れた年の差カップルのユニットで、夫婦としてはともかく、25年以上も続いていることはリッチーにとって安息の地がこのユニットであることがわかります。

お二人の夫婦として関係は分かりかねますが、先日どこかのドラマ内のセリフでありましたが、愛があれば年の差なんて関係ないのでしょう。LGBTQの権利が世間で話題になる中、年の差という面でも同様なのかもしれません。

1997年のレインボー活動停止後のリッチーの活動とブラックモアズ・ナイトの音楽に、落胆しているコアなファンはいるとは思いますが、私にとってのレインボーは、ストリート・オブ・ドリームズ以外のアルバムはちょい聴きしている程度なので、個人的にブラックモアズ・ナイトは、メロディ重視のフォーク・トラッド・ミュージックとして結構好きだったりします。

全然ブラックモアズ・ナイトのバンド紹介になってませんでしたが、ブラックモアズ・ナイトは確かに新しさなんて無縁であり、ハード・ロック・ファンが求める刺激的でヘヴィーな音像なんてなく、今の若い人に注目される要素もないと思います。

でもアンビエントやヒーリング的な音楽が一定の人気を得ているのに、日本人ならこのメロディは心に必ず触れるものはあるだろと想うのですが、現在は全くといって良い程、話題にならないのが悲しい限りです。
少なくともメロディアス・ロックが好きな人には聴いてほしいユニットです。

アルバム・インプレッション

スタジオ・アルバムとしては、これも名作だった前作[Night With All Our Yesterday]から6年ぶりとのことですが、その間にベストアルバムが出たり、クリスマスアルバム[Winter Carol]のリマスターが出たりして、さほどお久しぶり感はありません。
プロデューサーはリッチー自身が担当しています。

1曲目の[Once Upon December]からハードに飛ばすなんてことはなく、ゆったりと始まり、2曲目の[Four Winds]はAメロのヴァースからキャンディスの歌メロが心の琴線に触れまくりです。
ここからはメロディの洪水で、例えば3曲目の[Feather in the Wind]では少しテンポアップした舞踏的なリズムがナイスで、キャンディスのコーラス部のメロディが美しいちょっとした間奏箇所でもグッときます。

4曲目の[Darker Shade of Black]はさすがリッチー、圧巻のインスト曲です。
これは前作 [All Our Yesterdays] にも収録されてましたが、どこかのトラッドソングで元ネタ等はあるのでしょうか。
曲の長さも同じで、聴いた限りアレンジの違いもなく、再録のように思いました。
レインボーの全盛期の演奏でこの曲が聴けたら凄まじく泣きのハード・ロック・インストルメンタルになったのではと思ってはいけない?ことを思ってしまいます。

タイトルトラックの7曲目[Nature’s Light]は歌物とてはアルバムのハイライトです。
自然の讃歌のようなスケールが大きく暖かい曲調の歌です。
7曲目の[Der Letzte Musketier]もリッチーらしい物悲しいギターフレーズが印象的なインストルメンタルです。
8曲目は、ファースト・アルバムに入っていた物悲しいメロディアスな名曲[Wish You Were Here]のニュー・ヴァージョンも入ってます。
ラストのスローチューン[Second Element]は、光と闇・自然と人というこのアルバムのテーマのような哀愁味のある歌詞とメロディが印象的な名曲でアルバムはクローズします。

いかにメロディの素晴らしい曲が揃っているかを書き綴ってきましたが、こうして聴いていくとハード・ロックとは無縁のフォーク、トラディショナルなアルバムなのですが、確かにリッチーの培ってきたロックのフレイヴァーは所々に感じることができます。
そして何よりもリッチーのメロディ・メイカー、ソングライターとしての才能は全く枯れてません。

リッチー自体もすでに微塵も考えてはいないでしょうが、これらの曲のクオリティで本気でハード・ロック・アルバムを作る事を考えると、ジョー・リン・ターナー時期の第3期を同程度、もしくは超えてしまうのではと想うほどです。

今や知る人ぞ知るというか、世間的に注目されるような存在ではないブラックモアズ・ナイトですが、リッチーとキャンディス自体が大々的に表舞台に出ることは当然の如く望んでないのでしょう。

おじいちゃんを心配する子供の気持ちではないですが、リッチー・ブラックモアはこの投稿時点で70代後半です。
今は好きな音楽を自分のペースで活動していって、健康でコンスタントに活動して行って欲しいと願うばかりです。

今の音楽はサンプリングやクロスオーバー当たり前で、デジタルなサウンドで聴いていると楽しいですが疲れるところは正直あります。
ブラックモアズ・ナイトのように、アナログ感満載で、音が柔らかく、演奏も優しく、シンプルで分かり易いグッド・メロディの曲、アルバムをたまに聴くと本当にホッとします。

ポップでありながらヒーリング効果があると言う今時レアな音楽で、今の時代、まさにワン・アンド・オンリーな存在だと思うのですが、個人的にはもっとちょっと知名度が上がって評価されないともったいないなぁと感じています。

と言ってもヨーロッパのドイツやオーストリア等のいくつかの国では、本作はトップ20にチャートインしているのが少しでも救いです。

あまり触れませんでしたが、キャンディスの歌はレンジはあまり広くはなく一本調子なところがあるかもしれないですが、柔らかくも暖かく決して弱くない声質が好きで、自然・人間を美しく讃えるような歌詞も合わせて、キャンディスがいてこそのブラックモアズ・ナイトであり、このトータル的な素晴らしいアルバムが成り立っていると思います。

参考サイト

悲しいながらこのアルバムを深く考察したレビューはほとんど見当たりませんでした。
ただ [@fre_rock]さんの下記サイトで比較的、同感! と思える長文レビューがあり、拙い私のレビューより的確にアルバム内の曲の解説と評価をされてましたのでご紹介です。ブログにはハード・ロック、メタル含めてロック全般が紹介されています。

ロック好きの行き着く先は…

Blackmore’s Night – Nature’s Light

コメント

タイトルとURLをコピーしました