Mercury – Acts 1 & 2 – イマジン・ドラゴンズ (Imagine Dragons)

Mercury-Acts1&2-Imagine-Dragons
  • リリース日:2022年7月1日
  • 個人評価:★★★★

バンドの今後の成長過程に重要な意味を持つアルバムだと思います

今回は2022年にリリースされたイマジン・ドラゴンズ (Imagine Dragons)の5枚目のオリジナル・アルバムの [マーキュリー – アクト 1 & 2] (Mercury – Acts 1 & 2)を紹介します。

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アーティスト紹介

イマジン・ドラゴンズ (Imagine Dragons)は、ネバダ州ラスベガス出身の2009年に結成されたアメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドです。

2012年にファースト・アルバム[Night Visions(ナイト・ヴィジョンズ)]をリリースし、シングルカットされた[Radioactive(レディオアクティヴ)]のヒットもあり、アルバムも大ヒットしました。
その後の作品のアルバム・セールスや評論家筋の評価も良く、2018年リリースの前作[Origins]後、一時活動休止はしましたが、あまり長い休止期間とはならずにシーンに戻って来てくれました。

イマジン・ドラゴンズは、今、2022年時点、アメリカ・ロック・シーンの第一人者といっても良いトップ・バンドで、ワールドワイドでも2010年代デビュー組としては、アルバムを出せばアメリカだけでなくヨーロッパ各国でもチャートの上位に入る名実ともにNo.1と言っていいくらいのロック・バンドです。

レジェンド枠にはまだまだのデビュー10年目の中堅の域に入った程度の活動歴であり、これからにも期待と言ったところです。
ファースト・アルバム・リリース前の2012年には、現在のメンバーに固定されており、バンドの結束力もあるようです。

サウンドとしては、ギターよりもドラム、ベースでビートをシンセと共に全面に打ち出した軽やかなスタイルでギター・バンドという印象は薄めですが、独特の歌詞の世界観とヴォーカルのダン・レイノルズの時に熱い熱唱と時にグランジを思わせるラウドなギターも絡むところが今の時代にロック・バンドとして人気を確立している理由だと思います。

ちょっと優等生感を感じますが、今のアメリカのロック・バンドにこれだけのコンテンポラリー性を持ちつつ、今風なサウンドを取り入れて、しっかりロックを体現させるバンドとしては随一といって良いのではないでしょうか。
1990年代デビュー組だとコールドプレイあたりとテイストが似てますが、その他、ちょっとバンドは思い浮かばず、追随するバンドもないように思われます。

アルバム・インプレッション

2021年9月に[Mercury – Act 1]がリリースされましたが、2022年7月に続編となる[Act 2]を加えた[Mercury – Acts 1 & 2]がリリースされ、ダブル・アルバムとして両ピースが揃ったところで聴きました。
2018年の[Origins(オリジンズ)]以来、5枚目のアルバムとなります。

[Act 1]は「死」をテーマとし、[Act 2]は再生をと、表裏一体となるテーマを持ちながらも2枚のアルバムが繋がりを持つ大作となっています。
印象としては、[Act 1]は、孤独感や死を思わせるようなダークな歌詞が多いように思われますが、[Act 2]は再生をテーマにした前向きさを秘めたテーマを持つ曲や、今の逆境をなんとかして無理矢理にでもよくして行こうという意志を感じる曲が多いように思われます。

[Act 1]は、アメリカの人気アニメシリーズの主題歌となった[Enemy]から始まります。
アニメは未視聴ですがこれがなかなかイマジン・ドラゴンズの持つ未来的・SFチックな世界観とマッチしたアニメPVと合わせて観ると非常にカッコ良いです。
[Act 1]はその後も佳曲が詰まったアルバムとなってます。

ただ、どちらかというと日本で言うタイアップ曲である[Enemy]が浮いているような感じが無きにしも非ずでどちらかというと本編は次の2曲目の[My Life]から始まると言って良いでしょう。
「新しい誰かになりたい」「自制心を失っている」「これは自分の人生なのか」「ある人は亡くなりある人は前へ進んでいく」「これは自分の人生なのか」と歌われるこの曲から孤独感や疎外感が感じられます。

ヴォーカルのダン・レイノルズの義姉が2019年に他界したことについて書かれた4曲目の [Wrecked]は悲しみに打ちひしがれてる様子と曲の後半には義姉の彼に残した言葉が歌われている様子が胸に染み入ります。
10曲目の[Dull Knives]も心の痛みが歌われているようで、メロディがキャッチーな曲もありますが、歌詞は暗めなものが多くなっています。
[Act 1]最後の2曲の13曲目の[No Time For Toxic People]やラスト14曲目の[One Day]上りは次の[Act 2]へ繋がる再生や希望を感じさせる曲となっています。

[Act 2]はよりクールな感触な曲もありますが、メロディがはっきりとした充実さが良かったです。

1曲目の[Bones]から、「もう限界だ」「俺の骨身には魔法がかかっている」「この魂を感じている」「前へ進むんだ」と歌われており、[Act – 1]の内省的な歌詞からは前進していく意思が感じられます。

そして彼らの出身地のラスヴェガスのカジノを舞台としているようなPVとクールなビートが印象的な[Sharks], ダンのシャウトやラウドなギターが炸裂する[Blur]や[Take It Easy]等、明らかに曲の充実度は上です。

個人的には特に感銘を受けたのは、11曲目の[Ferris Wheels]は[Act 1], [Act 2]を通して地味でスローな曲ですが、メロディがとても美しく、歌詞も抽象的ですがイマジナリーで綺麗なものになっています。

ただやはり[Act 2]のみをだけを聴くというよりも、あくまでも[Act 1]を聴いた後で、[Act 2]の良さが感じられるのはやはり2作通してアルバムトータル性があるからでしょう。

アルバム自体は今までのリリースしてきた過去作と比べると、全体的にキャッチーさに欠けて重さが全面に出てしまったのか、[Enemy]のスマッシュ・ヒットはあったものの、アルバム・セールスとしては今までの作品より芳しいものではなかったようですが、内省的というか精神的な部分に重きを置いたこの2枚組の大作の次にイマジン・ドラゴンズがどのような世界を見せてくれるか非常に楽しみです。

どちらかというと、スモール・イン・ジャパンという印象のあるバンドですが、U2やコールドプレイといった名だたるアリーナ・バンドともう肩を並べていてもおかしくない良いバンドという地位を欧米では確立しています。

2015年と8年前になってしまいましたがサマソニで来日したり、2018年には3作目の[Evolve(エヴォルヴ)]リリース後に東京体育館で単独公演も果たしておりますが、今やアメリカを代表するこのアリーナ・バンドに単独公演で今の格に見合う会場を準備するのは難しくなってきているように思われます。
フェスでのトリやトリ前での来日の方が可能性高そうなので生で観れる日を待ちたいと思います。

参考サイト

[Act 1],[Act 2]を統括するようなレビューはネットに見受けられませんでしたが、ロッキンオンの元編集長の粉川しのさんの[Udiscovermusic.jp]の寄稿が[Act 1]が出来るまでの を含めて紹介されています。
当ページの関連記事でもイマジン・ドラゴンズの今の立ち位置等も紹介されています。

2021年9月3日に自身5枚目となる最新アルバム『Mercury – Act 1』が発売となったイマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons)。このアルバムで歌われていることについて音楽ライター/ジャーナリストとして活躍されている粉川しのさんに寄稿いただきました。

イマジン・ドラゴンズ最新作『Mercury – Act 1』:親しい5人の死、哀しみや絶望を歌った新境地 | Udiscovermusic.jp

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