Typhoons – ロイヤル・ブラッド (Royal Blood)

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  • 2021年4月30日
  • 個人評価:★★★★☆

UK獰猛ロック・バンドの新境地開拓アルバムです

今回は2021年にリリースされたロイヤル・ブラッド (Royal Blood)の3枚目のオリジナル・アルバムの [タイフーン]を紹介します。

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アーティスト紹介

ロイヤル・ブラッドは、イングランド 南東部ブライトン出身のロック・デュオです。
デビュー・アルバムもセカンド・アルバムもあまり聴き込めてなかったのですが、この3枚目のアルバムを2021年のベストアルバムに挙げている音楽誌も多い事もありしっかり聴いてみました。

2013年にマイク・カー (Vocal,Bass) とベン・サッチャー (Drums)という今の二人構成となり、セルフ・タイトルのファースト・アルバムから三作連続全英ナンバー・ワンになっています。

ロックデュオという言葉がなんか不思議で、ロック史上ではあまり思い浮かびませんが、ホワイト・ストライプス(The White Stripes) が有名ですね。
この二つのデュオには、二人のプレイヤーが出すシンプルなサウンドながら、インパクトと個性、アイデア勝負というイメージが共通していると思います。

ロイヤル・ブラッドは、Vocal,BassとDrums担当という二人の音が核となっており、バックに明らかなギターの音が聴こえると思いきや、マイク・カーは、ネックが通常よりも短めなショート・スケールのベースを使用しており、ベースの弦とギターの弦を組み合わせてこのギターともベースともいえるような独特なハードな音圧のサウンドを出しているようです。

通常ロックで聴かれる低音ベースとは異なり、ギターとベースの中間のようにリフとメロディを刻みます。とにかくばぎばき唸るようなリフがめっちゃカッコ良いです。
とにかくBass, Drumsがサウンドの核なのでリズム、ビートがタイトです。

マイク・カーのベース・サウンドの小難しいからくりは別のサイトに色々情報ありますので専門的なところはそちらに譲ります。
マイクのBassのうねるグルーヴがこのバンドの特徴ですね。

アルバム・インプレッション

今作は、1,2作目のアルバムのハードドライヴィングするロック衝動に、ダンスビートの導入というロイヤル・ブラッドの幅を広げた飛躍作となっています。

アルバムのプロデュースは、ロイヤル・ブラッド自身と、8曲目の[Boilermaker]ではクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(Queens of the Stone Age)のVocal,Guitarのジョシュ・ホーミが加わってます。
また、アデル, フローレンス・アンド ザ マシーン, U2, コールドプレイ等の数々のヒット・アルバムの主要プロデュースをしたポール・リチャード・エプワースというイギリスのレコードプロデューサーが加わってます。

ソング・ライティングについては一部の曲で外部ソングライターとの共作はありますが、歌詞を全てマイク・カー、作曲はロイヤル・ブラッドとしてクレジットされています。

ロイヤル・ブラッドの魅力は、実は70年代から伝わる典型的ともいえるロックサウンドが根底にあったりするのですが、とにかくここまで潔ぎ良くうなるベースとタイトなドラムのグルーヴで構成されるシンプルなサウンドで、ロックの衝動的な部分を抽出しているところです。
通常、洋楽ロックだとベースが聴きづらい、前に出ることはなく、ドラムも聴く人はわかるという楽器ですが、ベースとドラムだけで演奏することで骨格重視のロックとなっています。

そして今作では、今まで2作は往来のロック・ファンが唸る硬質な音質がこのデュオの特徴であり、色気でしたが、ロイヤル・ブラッドらしい往来のロック・サウンドも健在でありながらも、さらに幅を広げて、ダンス・エレクトロといった要素も加わっています。
そして今作では、且つ、曲が良いですね。このアルバムはほとんど捨て曲無しです。

二人の外部プロデューサーがそれぞれの役割を果たして、良い意味で聴きやすくなったと思います。

この聴きやすさをどう感じるかとなるのですが、個人的には、元々の持ち味のサウンドとグルーヴに、今まで顕著ではなかったダンサブルなビートを交えて、キーボードが隠し味程度ですが聴こえつつ、往来のロックファンが求めるロックの熱さはしっかりアルバムを通して伝わってきます。

ちょっとマイクのバキバキと硬質なベースが和らいで軽く明るくり、うなる感じよりタイト感が強くなりましたが、ロイヤル・ブラッドらしさというところのギリギリの部分を堅持しつつ幅広いファンにアピールする素晴らしいアルバムになったと思います。

特出すべきところでは、1曲目から3曲目は神曲と言って良い位のドライヴ感あふれる曲になっています。
特に、先行リリースとなった1曲目の [Trouble’s Comming]と3曲目のタイトルチューン[Typhoons]はこのデュオの魅力がしっかり伝わるこのアルバムを代表するキラーチューンです。
2曲目の[Oblivion]なんかはダンスビート導入の代表的な曲であり、リズムなんだかメロディなのか、リフなんだかダンスビートなのか混沌としたベース・サウンドがいいですね。

3曲目は[Typhoons]ではアリーナでシンガロングが起こりそうなロイヤル・ブラッドにとって、ファースト・アルバムの[Figure It Out]に並ぶとも劣らない名曲になってます。
PVでは二人の演奏シーンがとにかくクールにロックしていてカッコ良いです。

6曲目の[Limbo]なんかはエンディングにキーボードを絡めてちょっとドラマティックに終わる構成等、明らかに今までとは違った新しさが導入されています。

2分台から(2曲のみですが)4分台のコンパクトな11曲が約40分間だれることなく、気持ちよいダンサブルなロックグルーヴをキープしつつ、ラストの唯一のピアノのスローチューン[All We Have Is Now ]は驚きのこれまた新境地ですが、丁度良い長さでアルバムが終わり、ついついリピートしたくなります。

ライヴにはこのブログ解説をきっかけにたまに行くようになりましたが、このロックデュオはこのサウンドがライブでどう表現されるのか非常に気になります。アフター・コロナの見に行きたいアーティスト筆頭株です。

参考サイト

ロック界では一目置かれる個性派なので結構ネット上の記事があるかなと思いましたが、意外とインタビューやレビューが少ないのが気になりました。
踊れるロックという言葉に違和感を感じ、そんなに読み応えはないですが、マイクのインタビューを交えたアルバム紹介は日本語サイトではHMVだけ見つかりました。

”とにかく踊れるロックデュオ” ロイヤル・ブラッド 約4年ぶりとなる超待望の最新アルバム『Typhoons』

ロイヤル・ブラッド 約4年ぶりとなる超待望の最新アルバム『Typhoons』リリース グルーヴィーでダンサブル、ヘヴィなのに踊れるロック! | hmv

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