ドラマ・主題歌インプレッション (2023年 秋 10月期)

paripi-kohmei

はじめに・・・

今回は2023年の秋期(10月から12月)に放送されたドラマとその主題歌を紹介します。

全てのドラマがほぼ最終回を迎えた2023年内にアップしようと思っていたらあっという間に年を越して1月も半ばとなってしまいました。
2024年冬クールのドラマがもうほとんど始まってしまってますが遅ればせながらインプレッションしていきます。

2023年の秋期のドラマは充実していた夏期に比べると最初は小粒で不作かなと思いましたが、世間的に不評なものでも私にとってはツボだったりして、案外良作が多い期でした。

秋期という気温が低く寒くなっていく時期なのでほっこりとしたヒューマン・ドラマが多かったかなと思います。

そして1年間放送された大河ドラマ[どうする家康]も2023年12月で完結しました。
これも評判上々とは行かないドラマで大河史上ワースト2位の結果となってしまいまいた。(ワースト・ワンは明治~昭和の近代が舞台の東京オリンピックに纏わる[いだてん~東京オリムピック噺~])です。

大河はこの3年、[麒麟がくる][青天を衝け][鎌倉殿の13人]と力作が続いたことが視聴者のハードルを上げてしまったことも要因だたっと思います。

私としては最後まで見切ったので決してつまらなくはなかったのですが、徳川家康を演じた松本潤さんは民放ドラマで主演した[99.9 -刑事専門弁護士]でのユニークな主人公を怪演していたので期待していました。
ただ徳川家康という戦国時代の一大成功者の長い一生を演じるには少々荷が重かったかなと感じました。
ただ最終回のラストにおまけ的なコメディタッチの寸劇があり、これを見ると頼りない殿が周りに慕われて助けられて成功していったことが思い出され、この寸劇も賛否はありましたが、この中の軽いタッチが重厚で退屈で単調に陥りやすい大河を明るくしていたのかな、とも感じました。

月曜日

  • 系列:フジテレビ系(後9:00~9:54)
  • 出演:二宮和也、中谷美紀、大沢たかお 他
  • 主題歌
    アーティスト:ミイナ・オカベ
    曲名:Flashback (feat. Daichi Yamamoto)
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まず最初は伝統の月9ドラマ[ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~]です。
伝統の月9なのですがネットを見る限り残念ながら不評なドラマだったようです。
ただ個人的には結構好きでした。
後半で関係なく進んでいた主演の3人のストーリーが繋がっていくところはこじつけ気味な無理やり感があったのですが、3人の主人公の場面がコロコロ変わるのは飽きなかったし、中谷美紀はテレビ・キャスターとしてお得意のキャリアウーマン役だけどなんか人間臭いところがある安定した演技と流石の品の良さがあり、大沢たかおのレストランシェフのパートは良い意味での軽さや明るさをコメディ的にドラマに与えてくれていて彼のカラーで染めてくれてたと思います。

そしてやっぱりこの季節、師走から年末に向かう冬のワクワク感を横浜が舞台のクリスマスの雰囲気を前面に出していたのが、連休に向かう師走の浮かれ気分をそそってくれました。
このところ私もライヴ等で横浜に行く機会が何回かあったのでそれもあってこのドラマに惹かれたと思います。

そしてこのドラマに綺麗な色彩をつけてくれたのがミイナ・オカベの主題歌[Flashback]です。
ドラマのエンディングの良いところでこの曲のジャズっぽく跳ねる印象的なピアノのイントロが流れてくるですが、ここで毎週グッときました。
イントロに続くウィスパー系の綺麗な声も魅力的です。
今期一番粋なナンバーだなと思ったらプロデュースは今ロンドンに在住している小袋成彬でした。
ピアノがスローになったり跳ねたりしながらヴォーカルとドラムと絡んでいく構成だけでも十分粋でポップなのですが、こちらも始めて知ったDaichi Yamamotoの後半のラップパートが絡んでくるとちょいワルっぽい表情を醸し出してくるところがニクイいし、そこが曲を愛おしいものにしています。

ミイナ・オカベさんは2001年生まれの女性シンガー・ソング・ライターです。
彼女の父親が出身のデンマークのコペンハーゲン在住で、母親が日本人でハーフの方のようです。

この曲がフィーチャーされている[Flashback – EP]も聴いてみたのですが、この曲以外はアコースティックな懐かしさを感じるメロディアスなポップスだったりして1曲目の[Flashback]だけが異類の曲になっていて、元々はアコースティックなポップスを歌うシンガー・ソング・ライターさんのようです。

[Flashback]以外の曲は、どこかエレクトロになる前のエヴリシング・バット・ザ・ガールを思い出すメランコリックで郷愁を誘うどこか寂しげだけど温かさを感じるメロディの良い曲です。何度か聴くとアーティスト ミイナ・オカベの魅力が伝わってきます。

この主題歌自体は彼女の作品ではないようで彼女のヴォーカル活かしたコラボ作になってますが、ドラマの世界観や舞台をイメージして曲にしたタイアップの鏡のような作品です。
間違くなくこの曲がなければドラマの魅力は半減しただろうし、主題歌のクリエイター陣とミイナ・オカベさんのパフォーマーの才能で見事にドラマにマッチした主題歌になってます。

  • 系列:NHK総合(後10:00~10:50)
  • 出演:鈴木杏、玉置玲央、古川雄大、愛希れいか 他
  • 主題歌
    アーティスト:Aimer
    曲名:白色蜉蝣

これはネットを見ると評価の高いドラマでした。
疫病による政での男女の逆転等、荒唐無稽さがあるSF時代劇なのですがしっかりそこにはその時代に生きる人達の人間ドラマが描いているところと、時代劇で語り継がれている幕末中心の日本史背景と重ね合わせて観れるところが面白いところです。
個人的にはここまで脚色されてしまうと時代劇として厳しいかなと感じてしまいますが、脚本とさすが大河ドラマのNHKの時代劇セット、そして役者さんの演技力で魅せて感動させてくれる時代劇になっています。

主題歌はAimer(エメ)さんの[白色蜉蝣]です。
J-POP,J-ROCK界の実力派女性シンガー・ソング・ライターですが、[STAND-ALONE]や[残響散歌]のように洋楽的な曲に日本語詞をうまく乗せて往年のJ-POPを今の時代にうまくアップデートしている女性アーティストというイメージでしたが、今回は時代劇ドラマのタイアップということでマイナー調の湿り気とワビサビを持つど直球に近い歌謡バラードといった曲となっています。
Aメロ、Bメロといくうちに寂しさと悲しさを誘ってきて、サビでクライマックスに達するという王道の組み立てが上手いです。そしてAimerの愁いのある声が素晴らしいです。

Aimerの他の曲を多く聴いている訳ではないですが、Aimerさんにとっては新境地のようであり、元々声の性質が少々ハスキーなので昭和の香り漂う歌謡曲の違和感がなく、曲調もそうですが、ミステリアスさと清廉さを併せ持つアーティストイメージがドラマとうまくハマったタイアップ曲となっていると思います。

  • 系列:フジテレビ系(後10:00~10:54)
  • 出演:多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠 他
  • 主題歌
    アーティスト:藤井 風
    曲名:花

2022年秋期の[silent]は非常に評価が高く私も好きなドラマでした。
[silent]のプロデューサーと脚本家が再びタッグを組んだのがこのドラマ[いちばんすきな花]でしたがこれはネットでは賛否両論ありました。私はというとまあまあ面白く楽しめました。

出演者の顔ぶれを見れば分かるようにルックスは皆イケメンと美女達なのですが、何処にでもいそうながら心に傷を抱える20,30代の若い人がひょんなことから知り合って友人になりその繋がりと心の触れ合いから自然と自身の個を見つめて成長していくというストーリーです。

主人公の四人が関わる人達の中は、よくある人間関係の軋みから生まれる悪意を受けたり刺々しい会話があったりするのですが(特に若いからということもあるが夜々役の今田美桜と紅葉役の神尾楓珠に多かった)、主人公の四人の会話はからかいあったりしながらも、相手を尊重して言葉に優しさや思いやり、こんな人間関係築ける友人って今の時代にいるのかなと、なんか令和時代のお伽話のようなドラマでした。

ドラマにツッコむというよりもドラマを素直に見つつ、ほっこりしながら観てました。
自分に取ってはそれ以上でもそれ以下でもなく、四人に関わる様々な人間模様が交錯するのでちょっと焦点が定まらないところがあったかなと感じました。

主題歌は今や押しも押されぬ今の日本ポップス界の顔である藤井風の[花]です。

藤井風にしてはストレートな良い曲すぎるかなという感じはしましたが、ドラマのテーマである個々を尊重するということを花に例えた歌詞とメロディ、そしてピアノが印象的な曲でした。

月曜日の[ONE DAY]のミイナ・オカベもそうですがドラマの世界とリンクして溶け込んでいくようなタイアップの鏡と言って曲ですがちょっと狙いすぎかなというところが気になりました。
ドラマ内ではこの曲がエンディング際の良いところで流れてきます。
最終回ではドラマの4人が思い出の部屋で朗らかにくつろいぐ中、藤井風本人が部屋の中でこの曲のBalladバージョンをピアノの弾き語りをするというサービス・シーン付きでした。
サブスクのこの曲のEPにはインスト・バージョン、バラード・バージョン、デモ・バージョンと入っています。

  • 系列:フジテレビ系(後10:00~)
  • 出演:向井理、上白石萌歌 他
  • 主題歌
    アーティスト:EIKO
    曲名:DREAMER 他

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この[パリピ孔明]も私にとってはツボで期待以上のドラマでした。
コメディ青春音楽ドラマなのですが、音楽ファンにはライヴハウス、クラブ、フェス、レコーティング・スタジオや路上演奏シーンが多数あり、そこで繰り広げられる展開があまりマニアックになリすぎず肩肘張らないというのも良かったし、ユニークなキャラが多く出演するのですが嫌悪感を感じるキャラがおらず曲者だけど皆コミカルでどこか親しみを感じるというのも好感度が高かったです。

主演の向井理はこの作品で、三国時代の天才軍師が現在にタイムスリップして無名の若手シンガーの上白石萌歌演じるEIKOのマネージャーとなり、天才軍師の才能を活かして人気シンガーに育て上げていくという役柄です。

クールだったりキザな役が多い人ですが、嫌味を感じない人なのでこの作品でもそんな今までのイメージをキープしつつも、現代に来ても三国時代の派手な浮きまくりの衣装のままだったり、頭から煙を出したり、天才軍師らしく現在の利器であるスマホや機材にあっという間に精通してしまうというところが、向井理これやったか、と見ていて面白かったです。

EIKO役の上白石萌歌さんは今時の女子なのですが、彼女と孔明との出会った時の嚙み合わなかった絡みも面白かったし、信頼を寄せていくにつれてなんでも叶えてくれる孔明にドラえもんに頼るのび太のように甘えまくるところも可愛かったです。
強いて言えば、声が綺麗で歌のうまい女優さんなのですが、孔明が惚れ込むようなシンガーというところまでの天賦の才能を持つシンガーとしての存在感としては今ひとつでした。
ただ、そこまで女優さんに求めてしまうのは酷なので、キャラや役の年齢を考える萌歌さんがベストだったのだと思います。

後は森山未來のライヴハウスの店長役がハマってて相変わらずの存在感とドラマのキーマンぶりはさすがの演技でした。

あまり好きではないですが、世界的シンガーとして女王蜂のアヴちゃんが後半このドラマのキーキャラとして出演したり、石崎ひゅーいとゲスの極み乙女のベーシストの休日課長が伝説のユニットを組んでたり、ちょいキャラですが水曜日のカンパネラの詩羽やYOASOBIの幾田りらが出演していたのも音楽ドラマとしてのサプライズと、音楽ファンが楽しめる要素をしっかり盛り込んでいました。

あと関口メンディーもいました。これはやり過ぎなくらいでしたが、このドラマではこれだけぶっ飛んだキャラがいないと面白みが出ないので大仰なキャラ役兼悪役とコメディ要素を一手に背負ってました。

視聴率は決して良くなかったようですが、孔明ロスの声も多く下の記事のようにこれからの拡大展開が楽しみです。孔明フェス行きたいっすね~~

フジ「パリピ孔明」 総合エンタメへの展開も視野

個人的に西表ミア役の菅原小春さんの歌っていた曲が気になったのですが、このドラマのメインは上白石萌歌さん演じるEIKOの曲です。

ドラマでもEIKOの成長する場面でしっかり印象的に歌われていて、曲としてはドラマのキーポイントとして歌われる[DREAMER],[Time Capsule]は視聴者を感動させる曲であり萌歌さんのヴィジュアルの可愛さは元よりヴォーカルも合格点の曲でした。

改めてEIKO名義の配信でリリースされているアルバム[Dreamer]を聴いていくとナチュラルでメロディアスなポップで前向きなメッセージを持つ良い曲ばかりですが、やはり[DREAMER],[Time Capsule]が出色です。

ドラマを好きになった人にとってはドラマ内で印象的に歌われている曲ばっかりなのでドラマの余韻を呼び起こす愛聴盤になることは間違いなしです。

アルバム・タイトル曲の[DREAMER]はYOASOBIの幾田りらによる作詞作曲のオリジナルで、5曲目の[堕天]はCreepy Nutsの二人の作品(既発曲なのでCreepy Nutsのカバー曲)で、7曲目の[I’m still alive tody(with NANAMI)]はドラマの中でEIKOの親友でライバルとなるNANAMIとのデュエットで、こちらもドラマに出演した女王蜂のアヴちゃんが作詞を担当しています。

その他にも[タイム・トラベル]は作詞:松本隆・作曲:原田真二(オリジナルのシンガーは原田真二。)、[真夜中のドア 〜Stay with me]は、作詞:三浦綾子・作曲:林哲司(オリジナルのシンガーは松原みきですね。)とか昭和を代表する名作曲家・作詞家のナイスセンスな選曲のカバー曲もあり、王道ポップス・歌ものとしてもしっかりと楽しめます。
ハナレグミの永積タカシがヴォーカルだったSUPER BUTTER DOGのカバーの6曲目[サヨナラCOLOR]には泣けました… オリジナルとは違う味わいがあります。

ドラマ企画の音楽アルバムとしてこれだけ制作陣の愛が感じられ、完成度が高く、萌歌さんの歌も素直で清涼感があり、J-POPファンには素直に「良い」と感じる作品になってます。

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