キリエのうた

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今回は2023年に公開された映画 [キリエのうた]を紹介します。

  • 2023年製作/178分/日本
  • 公開日:2023年10月13日
  • 鑑賞日:2023年11月3日
  • 配給:東映

はじめに・・・

このブログを始めてから音楽つながりの映画を中心に観るようになりました。

このブログを始めてから音楽つながりの映画を中心に観るようになりました。

今年は[エリック・クラプトン Across 24 Nights], デヴィッド・ボウイの[ムーンエイジ・ドリーム], 先月紹介の[リバイバル69 伝説のロックフェス]と続き今年は4作目です。
今年は一応コンスタントに観るものがありましたが今年はこれで打ち止めでしょう。

ただ大概の作品は上映回数が多いロングランとなる作品や、上映館が少ないこともあり、家から一番近いショッピング・センターの映画館の会員に1年程前になったのですが、そこで気軽に見れないというのがジレンマです。

仕事帰りの都内の夜で観る選択肢もありますが、それだと完璧に寝てしまうので休みの日に観ることを常としています。

鑑賞日は文化の日を絡めた三連休の初日で、家から30分程かけて夕方上映していた流山おおたかの森SCのTOHOシネマズで鑑賞しました。
TOHOシネマズのシネマイレージ会員になっているのですが、TOHOシネマズでも年に1回の鑑賞ペースなので折角会員になったけどちょっともったいなと思ってます。

映画も往復の電車賃もあるので、IMAXや音響効果がないものは千円ちょっとで観れるといいのだけとなぁ。

ムーヴィー・インプレッション

さてそんな紆余曲折?がありつつ今日の映画は「キリエのうた」です。

ちょうど先日、当ブログの[10月の逸曲(邦楽編)]で主題歌をインプレッションして気になっていた映画です。

岩井俊二監督、音楽は小林武史タッグの久々の作品ですが、私はこのタッグの作品を観るのが初めてです。

以下ネタバレあるのでご注意ください。

主人公の本名は路花(ルカ)ですが、震災で亡くなった姉の名前を名乗るストリート・ミュージシャン キリエの物語です。

キリエの幼い頃から今までを、石巻・大阪・帯広・東京を舞台に描かれています。

震災で家族を亡くしてからの幼い子が自分一人で生活していくことの無力さや、広瀬すず演じる親友のイッコや、姉キリエのフィアンセだった男性との絆や、音楽で繋がった人たちとの交流を静かに、ドラマティックに盛り上げることなく淡々とドキュメンタリーぽく綴られて行きます。
一番辛い体験である震災の部分でも悲惨な映像等を流したりすることなく展開されていきます。

そして幼い頃から音楽やダンスが大好きな大人しい子で、震災後は会話で自己表現さえうまくできなくなってしまった主人公が歌うことだけで自己表現していく様を演じる元Bishのアイナ・ジ・エンドは鮮烈でした。この点は好き嫌いをおいてても評価できます。
この映画のために存在するアーティストという位のハマり具合で、実在する人物を映画化したと思える程の存在感です。

音楽自体が、周囲の偏見や社会や行政の在り方・秩序に縛られなければならないというもどかしさもこの映画のアイナ・ジ・エンドの演技を通して表現されていたと思います。

そんな場面を象徴するストリート・ミュージシャン役で出てた七尾旅人と子供の頃のルカとのやり取り(コラボ)も微笑ましくも最後は痛々しく印象に残りました。
その演技(曲)がサントラの最後に納らているのでこれは必聴です。

また、単にキリエ自身の歌やミュージシャンを題材とした映画というだけでなく、小林武史による音楽や、キリエが関わってきたミュージシャンの演奏シーンや喫茶店のBGMで流れる音楽にもハッとさせられるところも音楽映画と銘打つ所以かと思います。

映画の最後は小さな路上ミュージシャン仲間で開催したフェスでキリエの歌の才能の元集まったミュージシャンと一緒にキリエが主題歌を歌い切るところが一番の見せ場です。
ここで映画のテーマと主題歌[キリエ・憐れみの讃歌]の歌詞がリンクし結びついてきます。

Kyrie(アイナ・ジ・エンド)- キリエ・憐れみの讃歌 [Official Music Video](映画『キリエのうた』主題歌)

最後に明るくストーリーが完結する訳ではなく、悲劇の方向に近いエンディングで、キリエを始め誰かの未来に明るい兆しが見える訳ではないですが、何があっても先に進んでいき誰かと繋がっていきたいという希望が微かに描かれているところがテーマなのかと感じてます。

広瀬すずも主演作を演じることを常とする女優さんですが、この映画ではキリエの親友兼マネージャーで脇役に徹しています。
謎めいたキャラクターですが彼女の何をしなくても目を引いてしまう陽性オーラがこの明るいとは言えない映画に明るい色彩感とムードを反映しているように思えます。
もう少し彼女の謎なバックボーンも描いて欲しかったです。

私は全く気付かなかったですが、サントラに参加している安藤裕子や大塚愛もちょっとした役で出ていたことを後からネットの記事を見て気づいた位なので次観る機会があればその点に注目したいです。

おわりに・・・

色々書いてきましたが、キリエという女性と社会というフィルターを通して音楽や歌の持つ力が描かれた良作でした。

当日の私の体調もありますが、3時間の長編作品で場面がコロコロかわるような忙しさはありましたが、時間を気にすることなく鑑賞できました。

2回、3回と観ていくことで音楽的な気づきやこの作品のテーマが観る人がさらにわかってきそうな気がします。

また岩井俊二原作の本も出ており、それも合わせて読むと映画の理解がよりできるようです。

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