ストップ・メイキング・センス 4Kレストア (Stop Making Sense Experience It In IMAX) – トーキング・ヘッズ(Talking Heads)

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今回は2024年2月に公開された映画 [ストップ・メイキング・センス (Stop Making Sense)]を紹介します。

  • 1984年製作/89分/アメリカ
  • 公開日(日本):2024年2月2日
  • 鑑賞日:2024年2月12日
  • 配給:ギャガ

2月の建国記念日3連休に絡んで先週末木曜日はテイラー・スウィフトのEras Tour を観て、連休最終日は松戸の映画館でトーキング・ヘッズのライヴ映画を観に行きエンタメづいた連休です。

私にとってのトーキング・ヘッズはニューヨーク出身のニューウェーブ・バンドで、インテリ・バンドと言われ敷居が高い印象がして、決して思い入れのあるバンドではありません。
ただ、この[ストップ・メイキング・センス]に関してはいろんなところで伝説扱いされている名作中の名作ライヴ映画と言われているので気になっていたという程度です。

この手のマニアックな音楽映画は通常夜上映という映画館が多く、東京始めほとんどが夜17時以降の上映でした。
家から近めのテラスモール松戸にあるユナイテッドシネマで珍しく昼の12:15から上映していることをネットで知りました。

テラスモール松戸はJR武蔵野線の新松戸駅または新八柱駅からバスで10~20分程度に行ける郊外型ショッピングモールで、朝、うっかり出遅れたこともあり、新八柱駅から1,700円かけてタクシーで行く羽目になってしまいました。

映画代が2,500円なので合わせてて4,200円と、ちょっとしたライヴと同じ金額だなぁ、と出だしから失敗しました。

ただ恐らく上映期間も短くだろうし、平日夜仕事後に観ると確実に寝てしまう自信があるのでタクシー代は自業自得の出費です。

テラスモール松戸に着くとタクシーの運転手さんが入口と映画館が何階のどこら辺にあるか教えてくれて急いで行ってなんとか間に合いました。

結構、綺麗な映画館でスクリーンが10以上あり、この映画も20人程のお客さんが来てました。さすがに自分と同じか一回り上の40,50,60代位のリアルタイムでトーキング・ヘッズを聴いて来た方達が多かったと思います。

### 中盤からネタバレあるので注意ください ###

一言でひたすら楽しい!ライヴ・音楽を超えたエンターテイメント映画の大傑作です。
名作とか伝説とか言われる作品は観てみると、ふ~ん、なるほど、という程度の感想しか出ないことがよくあることなのですが、この映画は音楽映画の金字塔と言われるに相応しい素晴らしい映画でした。

そしてIMAXの良さ最高に生きていて、ここまで臨場感が感じられる映画は初めてと言って良い経験でした。
ほとんど生で目の前で演奏していないこと以外はほとんど生演奏に等しいといっても良い音の迫力を感じられる映画でした。
ここまで来てしまうとステージだけではなく演奏者の表情までしっかり見れるIMAX映画でもライヴに参加した気分になれると言っても過言でない位です。

とにかくロック・ミュージックの猛る熱さと演奏の楽しさ、グルーヴ感たっぷりのリズム、シンガロングできる曲の良さと飽きることがない演出とライティングの全てが素晴らしく噂にたがわぬ名作です。
正にStop Making Sense。観て聴いてただ楽しむというライヴの一番の醍醐味を極めているところが素晴らしいです。

そしてバンドをひっぱるデヴィッド・バーンのエキセントリックだけどユニークなパフォーマンスのカッコ良さは尋常ではありません。

トーキング・ヘッズの作品は名作と言われる[Remain in Light]と、80年代にリアルタイムで聴いた[Speaking in Tongues]と[Little Creatures]程度で結構人懐っこい音楽やるバンドだな程度にしか思ってなかったので、正直、ここまで熱いライヴだとは思いもよりませんでした。

良い良いばかり書いて終わりそうですが、簡単に内容説明を、まずはオープニングです。

デヴィッド・バーンがステージに歩いてくる足元と無造作に置かれるラジカセ、そしてデヴィッドの表情が映し出され、張りのあるアコースティック・ギターで歌われる1曲目の[Psycho Killer]が演奏された途端、何か凄いことが起こるのではという期待感が沸き上がります。
配給元のギャガの公式サイトにこの曲を含めたいくつかの曲の演奏が触りだけですがアップされています。

『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』本編映像_Psycho Killer_2024年2月2日(金)公開

2曲目の[Heaven]でベースのティナ・ウェイマスが加わり、3曲目の[Thank you Sending Me an angel]からクリス・フランツが加わりバンド・サウンドの核が形成され、4曲目の[Found A Job]でエレキ・ギターが加わり最高にカッコ良いカッティングを聴かせ、5曲目の[Slippery People]でコーラス、パーカッション、キーボードが加わっからは血沸き肉躍る最高のお祭り、パーティーがラストまで続きます。
もう最初から最後までがクライマックスと言っても良いでしょう。

ここの演出が素晴らしくIMAXの臨場感もあって、各楽器を段階的に入れていくことで観る人に楽器それぞれの音をクリアーに意識付けていきます。

印象に残っているのはやっぱり彼らの一番のヒット曲である[Burning Down the House]
こんなにもアッパーで楽しい曲だなんてこの映画を見るまでは気づきませんでした。
とにかくデヴィッド・バーンを始め演奏者の楽しそうで熱い演奏は必見です。

『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』本編映像_Burnig Down the House_2024年2月2日(金)公開

そしてステージ上でランニングしながらの演奏と後半のデヴィッドのステージ周回大疾走がめちゃくちゃカッコ良くて楽しい[Life During Wartime]
これを見ると一緒に映画館を走り回りたくなる衝動に狩られるというのは嘘ではないくらいめっちゃ盛り上がります。

そしてデヴィッド・バーンの真骨頂であるブカブカのスーツに痙攣ムーヴが代表曲[Once In A Lifetime]で楽しめます。

ラストはこれも彼らのトップ40ヒットである[Take Me To The River]で大円団を迎えます。
ここで初めて楽し気に歌い踊る観客の表情を映し出し、ファンキーなポップソングなのですが楽しそうな観客の姿を見てると涙が出てきそうになります。
それはこの饗宴が終わる寂しさでは決してない、ただひたすら楽しい空間を共有できた喜びが何故か感動となるのです。
そしてこの体験が明日への活力となる、ライヴ体験の一番理想的な在り方です。

トーキング・ヘッズを聴いたことがなくても、ロック好きならこの映画を観て熱くなれない人はいないだろうと初めて聴いても引きずり込まれるロック・ライヴ映画の大傑作です。

80年代のバンドが2020年代の今に全く古びないどころか初めて観るものに新しさを感じさせる大名作。皆が言うように私も言ってしまいますがこれは音楽映画の金字塔。
正直これをベースにしてしまうとこれから見ていく他アーティストのライヴを楽しめるのか…というのが心配になる位です。

この映画を小難しく書き綴っているレビューサイトが見れないのが幸いか不幸かという感じですが、1曲1曲にそうだよね〜と思ってしまうレビューがno+eにありましたので紹介です。

Talking Headsのライブフィルム『Stop Making Sense』が4Kリストアされた。

もう何度見たかわからないが、あらためて傑作だと心から思う。本作を映画館の大音量・音響であびるのは、この上ない聴覚・視覚の体験だ。

『Stop Making Sense』を語りたい – David Byrneが信じるもの | no+e

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