- リリース日:2021年2月12日
- 個人評価:★★★☆
サントラではなくオリジナル・アルバムとして聴けます
今回は2021年にリリースされたシーア (SiA)の9枚目のオリジナル・アルバムの [ミュージック] (Music – Songs From and Inspired By the Motion Picture)を紹介します。
アーティスト・アルバム紹介
日本では2022年2月25日に公開されたシーアが初監督した[ライフ・ウィズ・ミュージック]のサウンドトラックです。
サウンド・トラックですが全曲シーアのヴォーカル入りとなっているため、オリジナル・スタジオ・アルバムといって良い位置づけでしょう。映画はシーア自身が原案・脚本・制作と、もちろん音楽まで手掛けたとのことです。
シーアは、オーストラリア出身のシンガー・ソング・ライターです。
既に1990年代半ばから音楽活動を始めており、2000年代に入って自身のソロ・アルバムをリリースしていますので活動歴20年以上とベテランの域に入っているミュージシャンです。
日本でもファッション・ブランドのCMで[Chandelier]や、車のCMでは[Alive]といった曲が印象的に使われて茶の間にも浸透しており、[Cheap Thrills]のビルボード・ナンバー・ワンのヒット曲もあったり、日本人でもこれらの曲を聴けばこの曲歌っている人なのか、と感じる人は多いはずなのですが、認知度は高い曲があっても、いかんせんアーティストとしての認知度はまだまだだと思います。
私自身は日本人好みの印象的なエモーショナルなメロディを書く名ソングライターであることと、ダンス・ミュージックなのですがポップやロックの要素を持っているので、大ヒットとなった彼女の7作目の[This Is Acting]をきっかけに聴いています。
でも、せっかくタイアップされても、今の時代にCMに使われた洋楽ポップスを気に入ってアーティストまで辿ってファンになるという人がどれだけいるんだろうか、シーアの日本での知名度で感じてしまいます。
日本公演は、2019年のフジロックで大雨の中でトリと務めたようですが、単独での公演は2023年現在まだ実現してないようです。
アルバム・インプレッション
サウンドトラック特有のインストルメンタル曲はなく、曲も聴いてて前向きで元気になれる、相変わらずエモーショナルかつポップであり、サウンドドラックというか[Songs From and Inspired By the Motion Picture]とあるように自身のミュージカル映画から自身がインスパイアされて作った曲が含まれたアルバムです。
オリジナルアルバムとは若干毛色が異なりますが、よりカラフルでダンサブルな曲が多い印象を受けます。
プロデューサーはジャック・アントノフ、ジェシー・シャトキン、グレッグ・カースティンと今現在の名だたる売れっ子の名前が上がっていて、楽曲にシーアと共作のクレジットがされています。
1曲目の[Together], 2曲目の [Hey Boy] はシーアらしい明るく元気になるポップな曲で、3曲目のデュア・リパらと共作した[Saved My Life]や4曲目のデヴィッド・ゲッタとの共作となる[Floating From Space]もシーアの別の魅力である愁いを帯びた曲調ですが、サビになるとシーアのヴォーカルも力強く曲に意思が感じられます。
6曲めの映画のタイトルとなる[Music]はスローでピアノと深遠なエレクトロ・サウンドが映画を象徴する曲のように感じられ、後半の10曲目以降に入ると映画にインスパイアされた曲の色合いが強くなってるように感じます。
ポップソングというより映画的なドラマ性を感じさせるストリングスが入ったり、スペーシーなエレクトロ調でスローなものが多くなってきます。
始めはサントラなのかとあまり期待していませんでしたが、そこはさすがシーアで捨て曲が全くなく、シーアのメロディメーカーとしての才能がしっかり伝わってきて、きっちり愛聴盤となりうるオリジナル・アルバムとして聴けます。
私自身は映画は未鑑賞なのですが、評価も賛否両論だったようでシーアの実体験に基づく絶望から希望を見出していくというヒューマン
ただ、このしっかりした素晴らしいポップ・アルバムを聴いてから映画を観るという通常とは逆のパターンで音楽の次に映画へ辿っていくことより、より深く映画を鑑賞できるのではないかと思います。
amazon prime video でレンタル配信しているようなのでいつか観たいと思います。
ライフ・ウィズ・ミュージック(字幕版)
ライフ・ウィズ・ミュージック(字幕版) | prime video
アルコール依存症のリハビリテーションプログラムを受け孤独に生きるズーは、祖母の急死により、長らく会っていなかった自閉症の妹・ミュージックと暮らすことに。頭の中ではいつも音楽が鳴り響く色とりどりの世界が広がっているが、周囲の変化に敏感なミュージックとの生活に戸惑い、途方に暮れるズー。そこへアパートの隣人・エボが現れ、優しく手を差し伸べる。次第に3人での穏やかな日々に居心地の良さを覚え始めたズーは、孤独や弱さと向き合い、自身も少しずつ変わろうとしていくが……。
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