- リリース日:2020年10月7日
- 個人評価:★★★★
心身共に回復に向かっている時期での安心印のオリジナル・アルバムです。
私の大好きな好きな女性シンガーの筆頭である中島美嘉さんの9枚目のオリジナル・アルバムです。
私は彼女の5作目となる[VOICE]に感銘を受けてからは全作欠かさずカバー・アルバムを含めて聴いています。
彼女の魅力は孤高の存在感というべきシンガーとしての表現力と高さと、アルバムトータル通しての一曲一曲の曲の良さと、アルバム自体の完成度が[VOICE]からは突出して優れている点です。
本作 [JOKER] は、2017年春にリリースされた [TOUGH] から3年半ぶりとなります。
ただその間にもカバー・アルバム [PORTRAIT 〜Piano & Voice〜] やベスト・アルバム[雪の華15周年記念ベスト盤 「BIBLE」] と企画物ではあるけどコンスタントにアルバムも出ていて、私はそれらも当然聴いており、またアルバム内のシングルカットだけでなくアルバム未収録のシングルもリリースされているので、個人的にも世間一般的にもお久しぶり感が全くなく、精力的にコンスタントな活動をしてくれるのが嬉しい限りです。
どちらかというと最近のアルバムは既出の配信限定を含めたシングルやタイアップ曲が半分、オリジナルのための書き下ろしと半分のようなバランスになっているのですが、さすがにシングル一枚一枚聞くことまで追いつかないので、ドラマ等で聴いたことあるなぁと思いつつ、アルバムを聴くときは全曲ほぼオリジナルとして聴くことが多いです。
過去のオリジナル・アルバムもまたどこかで触れたいと思います。
美嘉さんといえば、2010年10月に「耳管開放症」という耳の病気の悪化で活動を休止し、症状としては、飛行機の離陸時に(耳が)閉まる感じで、自分の声が大きく聞こえて外の音が聞こえなくなる感じだったということです。2011年には復帰はしましたが、実際は完治していなかったらしく、自分のできる限りのやり方で活動を継続していたようです。
ただ2021年の10月22日に放送された日本テレビ系音楽番組 [MUSIC BLOOD] で完治したことが伝えられました。
コロナ禍で生活を変えれたのが一つのきっかけになったようで、ゆっくり休めて、ストレス緩和のきっかけとなり、じょじょに聴力が上がってきて、もうある程度の期間症状もないようで治ったとの発表になったようです。
患った当初は周囲から歌う事をやめろとと言われたりしたらしく、一番うれしい事は「音程を外したのが分かること」とのことで、「今、外したから次に戻そう、とかが分かるようになり、シンガーとして特にライブでの表現に良い方向に行けているようでファンとしては一安心です。
私にとってこれからもずっと追いかけていきたい歌姫なので、とても嬉しい限りです。
その時の様子は、下記のサイトに番組での美嘉さんのフォトともにアップされています。
歌手の中島美嘉が、22日に放送された日本テレビ系音楽番組『MUSIC BLOOD』(毎週金曜23:00~)に出演した。
中島美嘉、未完治だった耳の病気から回復「聴力が復活したんです」
歌手、中島美嘉(38)が日本テレビ「MUSIC BLOOD」(金曜後11・00)に出演。今年に入り、聴力が復活したことを初告白した。
中島美嘉「聴力が復活しまして」と初告白 「耳管開放症」の症状改善に喜び
いつものように前置きが長くなりましたが、本題の [JOKER] について語りたいと思います。
相変わらず美嘉さんのヴォーカルを活かしたヴァラエティに富んだ曲調の曲が並んでいて安心印のアルバムになっています。
1曲目はバラードでスタートしつつも、前半はダンサブルなナンバーやアップ・テンポの曲を中心とし、後半はスロー・ナンバーやバラードを中心とした作風となっています。
バラード曲は1曲目の [ノクターン] がアルバム内では出色の出来になっていて、PVでは女優の安達祐実さんが出演していて、離れていってしまった人への想いや葛藤を歌う世界観をさすがの演技力で表現していて曲のイメージを高めています。表情や佇まいの美しさが素晴らしいです。
そんな中で、デビュー当時からの付き合いである COLDFEET が作詞・作曲・編曲に関わっている中盤の2曲が個人的に好きです。
6曲目の [So What] はヴォーカルも曲調もクールだけどダンサブルな魅力的な一曲になっており、7曲目の [Justice] は中島美嘉流のハード・ロック・ナンバーになっていて、ちょっと邪悪さを感じる位のクールな美嘉さんのヴォーカルが魔性の魅力を感じさせていて、相変わらずコラボ相性は抜群です。
安藤裕子と曲作の作詞となり、小林武史が作曲・編曲している9曲目の [Happy Life]は今までの美嘉さんには珍しい曲調の軽快なポップ・ナンバーになっています。
13曲目の [夜が明ける前に] はメロディアスで純粋すぎる位純粋なラブ・ソングになっていて、ラスト14曲目の [虹が出たら君に逢いに]も、エバーグリーンな爽やかさを持った明るめのメロディのスロー・ナンバーで余韻をうまく残してアルバムはクローズします。クールなイメージの方ですが、こうゆうさりげなく聞く人を勇気・元気づける曲でもジャスト・フィットする歌唱力で曲を自分だけのものにしてしまうところが良いですね。
このアルバムもコロナ禍の中レコーディングされたアルバムのようなのですが、病気が快復傾向にあるのかを反映したのか、明るめのポップ・チューンやダンサブルなチューンが多く、スロー・ナンバーも重めの歌詞を持つ曲はあまりないように感じ、全体的に明るいイメージを感じさせます。
ここ最近のオリジナル・アルバムは個人的には「★★★★★」級の作品が続きましたが、今作は1曲1曲の持つ曲のパワーが少し弱いかなという感じはしますが、コロナ禍という時期に作られた作品ではありますが、彼女自身が心身ともに良い方向に向かっている状態でのアルバムであり、今は前述のように病気の回復宣言をしていると、2017年から3作リリースされている [Piano & Voice] シリーズの素晴らしさもあり、心身ともに回復し、新たな表現力を身につけていっており、今後はコンテンポラリーなポップスの枠に捉われない更なる魅力的なシンガーになっていくような予感を感じ、今後の活躍にも期待していきたいと思います。
根強いファンは多いアーティストだと思うのですが、女性シンガーは競争が激しいので孤高の存在感を持つ彼女を、ヒット曲は[雪の華]だけじゃないんだよというところを紅白とかにも出て改めて世間にわかってもらいたいなという気持ちも正直ありますね。
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