先月2023年9月からスタートした今月のこの逸曲ですが、9月(邦楽編)は前月・前々月の曲を含んでしまったので選曲に苦労はしませんでしたが、今月は書くことよりもチョイスに時間を要しました。
個人的に洋楽編に比べると情報量や耳に入ってくる機会が多く、意識的にテレビの音楽番組を見るようしていたにも関わらず意外や意外と選曲に苦労します。
やはり洋楽は圧倒的な新旧アーティスト数と、耳馴染みがあり息の長いベテラン・中堅どころが数多いという選択の幅広さが前提にあり、あとは洋楽への耳の慣れ具合なのかなと思ったりしています。
この多様化のご時世で音楽も自由で多様化しているので洋楽・邦楽ともにチャートの上位に入る曲が全て素晴らしいという訳ではないのですが、邦楽もこの企画を機にもっと聴く機会を広げていきたいと思います。
9月同様何とか5曲(作品)絞り出しました。
最高到達点 – SEKAI NO OWARI
- リリース日:2023年9月17日
1曲目は2023年9月にリリースされたセカオワ(SEKAI NO OWARI)の [最高到達点]です。
9月3日からのTVアニメ[ONE PIECE]の新主題歌として使われています。
今年のセカオワはシングル曲で攻めてきましたがどれもタイプが異なりながらもセカオワらしさが出てて、とにかく曲の良さにおいて一点も曇りもなく素晴らしいです。
ファンキーなリズムのダンス・ロックの[サラバ], バグパイプのような音色のキーボードがトラッドっぽく、ベースがバキバキと前面に出たグルーヴ感たっぶりだけど甘酸っぱいメロディが印象的なポップ・ロックの[ターコイズ], セカオワ流今風のメロウなR&Bに昭和40年大男にはブリキのロボットおもちゃっぽい懐かしくもジャンクな機械的なギター音が印象的な[ROBO]と来て、今回は[最高到達点]と来ました。
4曲の中では一番明るく前向きすぎる位の青臭さい歌詞なのだけど、そんなかことは一切感じなく童心に帰って盛り上がれるポップ・ロック・チューンで、どちらかというと一番シンプルで分かりやすいメロディラインに仕上がってます。
今月も多数の人気アーティストのシングルがリリースされましたが、この良い意味で分かりやすさを持ちながらも何度も聴きたくなる飽きがこないところがさすがにセカオワです。
[ワンピース]の主題歌ということもありポジティブな言葉が並ぶ今年一番といっても良い気分を上げてくれる曲になっていて、間奏からのオーケストラっぽいところからピアノ伴奏とストリングスにFukaseのヴォーカルが乗るところがドラマチックに盛り上げてくれて感動的です。
私はマンガのワンピースは途中で挫折しましたが、マンガ・アニメのファンなら大歓迎の主題歌ではないか思います。
今までも素晴らしいアルバムをリリースしてきたバンドですが、こんな調子で神がかりといって良いシングル曲をリリースしていくと来年2024年の初旬にリリース予定となっているオリジナルアルバムは一皮も二皮も剥けた素晴らしい出来になるのではと期待感が膨らみます。
これらのシングルも収録予定のようですが既発と新曲がうまくコンバインされた名作となることを期待します。
キリエ・憐れみの讃歌 – Kyrie (キリエ)
- 2023年10月18日
2曲目は2023年10月にリリースされたキリエ(Kylie)の [キリエ・憐れみの讃歌] です。
これはApple Musicのベスト・ニュー・ソングを聴き流していた時に耳にひっかかた曲です。
10月13日に公開された映画[キリエのうた]のオリジナル・サウンドトラックと彼女のデビュー・アルバム[DEBUT]に収録されてます。
サントラ元は今年2023年6月に解散したBISHのアイナ・ジ・エンド主演で、[スワロウテイル]の岩井俊二監督,小林武史 音楽プロデュースのコンビによる音楽映画です。
アルバム[DEBUT]には映画で流れる曲を多数収録しており、アイナ・ジ・エンドが作詞作曲した8曲が含まれます。
そして、アーティスト名の[Kyrie]は映画の主人公の名前で実際にはアイナ・ジ・エンドの作品ということになります。
BISHは熱烈なファンを持つユニットであることは知ってましたが、私は数曲気に入った曲がある程度でファンという訳ではありませんでした。
で、この曲は小林武史が作詞作曲をしており、彼らしい哀感が漂いつつも沸々と心が熱くなるバラード曲で、鼓笛隊のようなスネアとブラスで静かめに始まりつつ、ラストは賑やかに感動的なラストに雪崩れこみドラマティックに盛り上がる曲に仕上がってます。
似ている訳ではないですが、岩井・小林コンビなのでどうしても YEN TOWN BAND の[Swallowtail Butterfly]を思い出してしまいます。
曲は映画の世界観をもとに作られているようにように思われ、映画と一緒に聴くことでストーリーとメロディと詞の世界が繋がり初めてこの曲の良さを感じられそうです。
映画を観てからこの曲を聴くことでリスナーがこの曲を聴いたという行為が一度完結しそうな予感がします。
Kyrie(アイナ・ジ・エンド)のハスキーなヴォーカルは結構好みが別れるかも知れませんが、演技・パフォーマンス・ヴォーカルがどのように映画内で表現されるのか楽しみで、久々にお金を払って観に行きたい邦画音楽映画です。
忘れてしまうといつの間にか終わってたり早朝や夜しかやってなくなるので早めに観に行きたいです。多分忘れそうだんなぁ…
聖徳太子 – 水曜日のカンパネラ
- リリース日:2023年10月18日
3曲目は2023年10月にリリースされた水曜日のカンパネラの [聖徳太子] です。
水曜日のカンパネラは今まで流してBGM的に聴いてきたユニットで結構ゆったりとした曲も多いので、私にとって睡眠用BGMとして聴いてきました。
そんな訳で過去の作品をしっかりと聴けてないので偉そうに語る資格は全くないのですが、ヴォーカル・主演がコムアイから詩羽に変わってからイメージ的にも世間の話題としてもかなりバズった・弾けたなという印象です。
コムアイさんもネットの情報を見ると個性派で自由なキャラの方だったようですが、BGM的に聴いていた人間としては大人っぽい艶やかなヴォーカリストという印象だったので、年齢的に当然ですが詩羽の若々しく元気で歌も声も魅力的ながらもナチュラルでしっかり歌えるヴォーカルになったことが一番だと思います。
ある意味聴きやすくなった、一般層にも訴求力が強くなったという印象です。
サウンドは相変わらずのエレ・ポップなのですが、コムアイ時が不思議な詩世界と前衛さとポップさの折衷という印象でしたが、詩羽体制になりポップ力がかなり増したように感じます。
元々持っているユニークな詩の世界観と、サウンドも詩羽のヴォーカルが乗ると二回り位弾けたマジカルなエレ・ポップが展開されます。
2022年の[ネオン]でそんな印象を感じましたが極めつけとなったのがこの聖徳太子です。
歴史上のキャラをおもしろおかしく取り上げるのが水曜日のカンパネラの歌詞の特徴ですが、今回は誰でも知っている10人の話を同時に聞き分けて相談をするという誰でも知っている逸話を、聖徳太子もこんなことで悩んでたんじゃないかなと想像したユニークな歌詞です。
詩羽のヴォーカル・ラップも表現力というかエンタメ度、訴求力が増してこれは若い子に受けるわなという位、PVもめっちゃ可愛くて私のようなオヤジが聴いてもユニークでハマる曲に仕上がってます。
これからは通好みのポップ・ユニットからグッと表舞台に出てきそうで、今までのユニークさとのバランスをうまくとって活動していってもらいたいです。
トーキョー・コーリング (Tokyo Calling) – 新しい学校のリーダーズ (ATARASHII GAKKO!)
- 2023年10月23日
私としては好きなアーティストと曲,アルバムを紹介・応援するためにこのサイトを開設しましたが、今更このアクセス数が少ない当サイトで紹介するまでもない今が旬の大人気グループです。
新しい学校のリーダーズといえば[オトナブルー]が今はZ世代の人なら知らない人はいないくらいで、一般層にも知られている曲ですが、今回は不穏なマイナーのエレクトロ・サウンドが子供の頃に見た昭和日本の特撮映画のサウンドっぽく、世間知らずな子供の頃に聴いたどこか恐怖と不安を掻き立てるイントロから始まります。
そこにアッパーなジャングルピートっぽいドラムが絡んできて、今時令和のダンス・チューンとなってくる印象的な曲です。
歌詞の出だしは今の東京の暗部を歌っていき社会派ソングかと思わせますが、このまま不安の底辺まで行くのかと思いきや、後半は希望の未来を作り前進していこうというポジティヴワードとコーラスに変わり不安なままで完結しないところがちょっと残念に思いつつもホッとするような曲です。
いずれにせよセーラー服の今風ダンスユニットと一言で括れない一筋縄ではいかない個性派ユニットなので、伸び代だけしかないグループなのでどこまで幅を広げて多様化していくか未知数なところが魅力です。
なのでこんな感じでどんどん新境地を開拓していって欲しいです。
当然のことながら新しい学校のリーダーズは見て聴くユニットなのでPVも相変わらすユニークです。
どこかで見たなと思ったら彼女たちもジャパニーズ・ヴァージョンとしてカバーしてましたが、ビースティーの[Intergalactic]にインスパイアされているところがあるようです。
メンバーが巨大化してるところはウルトラセブンのアンヌ隊員といったところでしょうか。
小さな恋のうた – WANIMA
- リリース日:2023年10月25日
最後の5曲目は2023年10月下旬にリリースされたWANIMAの [小さな恋のうた] です。
これは地元の沖縄を活動の拠点で独自のマイペースなスタンスで活動をするMONGOL800 のカバー曲です。
とは言ってもWANIMAだけでなく、Awich, Mrs.GREEN APPLE等人気のアーティストが参加したトリビュート・アルバムでそれぞれのアーティストの持ち味を活かしてモンパチの曲をうまく料理しています。
9曲入りのアルバムなのですが、今、サブスクで聴けるのは、WANIMA,HEY-SMITH, TETORA,満島ひかり,Mrs.GREEN APPLEの5曲です。
その中でもWANIMAが一番の有名曲[小さな恋のうた]をトリビュートしています。
今のモンパチは2人体制ですが、どちらもヴォーカル/ベース, ギター, ドラムという同じ編成のストレートなロックバンドなので見事にはまっています。
WANIMAらしくオリジナル同様疾走感が強く、リスペクトを感じる素直なカバーなのですが、この曲のオープニングとラストにWAMIMAオリジナルの歌詞が挿入されています。
それぞれこうあります。
「時が経った今も忘れずにいるから、変わらずにこの曲を響かせていくから」
「時が経った今も繋がっているから、変わらずにこの曲を響かせていくから」
単なるカバーに収まらないバンドと曲への尊敬の念をこのように形にするWANIMAというバンドの誠実さ、ストレートさと粋なところにグッときます。
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